ドミニカ共和国断交 中華民国外相が中国大陸を強く非難「圧力に屈しない」

【政治】 2018/05/01 14:13文字サイズ:字級縮小字級放大
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呉ショウ燮外交部長

呉ショウ燮外交部長

(台北 1日 中央社)カリブ海の島国ドミニカ共和国が中国大陸と外交関係を結ぶと明らかにしたのを受け、呉ショウ燮外交部長(外相)は1日、中国大陸に対し、巨額の金銭援助などの「金銭外交」で中華民国(台湾)の国交樹立国を引き抜く行為を「深く軽蔑し、断固として非難する」とし、「政府は北京の圧力に決して屈しない」と述べた。外交部で記者会見を開き、声明を発表した。(ショウ=金へんにりっとう)

中華民国は同日、ドミニカ共和国との断交を発表した。2016年5月の蔡英文政権発足後、断交は3カ国目。外交関係を結ぶ「国交国」は19になった。ドミニカ共和国には2016年末から中国大陸との国交樹立に向けた動きが見られ、断交が懸念されていた。昨年7月に当時の外交部長、李大維氏が同国を訪問したものの、同国外相とは面会できなかった。同8月と10月には同部の劉徳立常務次長が交流促進のために同国を訪れていた。

中華民国は1941年にドミニカ共和国と国交を樹立。外交部によれば、コメの増産計画やテクノロジーパークの建設、治安改善や観光振興計画、貧困家庭支援センターの建設などに協力し、同国の人々から広く支持を得ていたという。

▽蔡総統「台湾に対する北京当局のさらなる圧力」

蔡英文総統は1日、ドミニカ共和国との外交関係解消について、台湾に対する北京当局のさらなる圧力だとし、政党を問わず団結する必要性を訴えた。国家安全保障のためのシンクタンク「国防安全研究院」の設立式典で述べた。

総統府は同日、ドミニカ共和国が北京当局の金銭外交によって中華人民共和国との国交樹立を決めたことに「遺憾を表明する」との声明を発表した。台湾には友好国を支援する能力と意欲があるとした上で、「金銭外交には反対する」と反発した。また、「北京当局のやり方は一方的に両岸(台湾と中国大陸)の平和の現状に衝撃を与えるもので、責任ある国際社会の一員がとるべき行為ではない」と非難し、「このような間違いは即刻止めるべき」だと訴えた。

▽大陸委「責任は自分で」 中国大陸に警告

台湾の対中国大陸政策を担当する行政院(内閣)大陸委員会は1日、中国大陸が経済面での影響力を武器に、ドミニカ共和国に中華民国との断交を余儀なくさせたとし、「政府は断固とした非難と不満を表明する。北京当局は待ち受けるであろう結果に最大の責任を負うことになるはずだ」と書面で発表した。

(游凱翔、葉素萍、繆宗翰/編集:名切千絵)

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