東北新幹線、月内の全線再開めどたたず 電柱など損傷
JR東日本は17日、宮城、福島両県で発生した地震の影響で、東北新幹線の3月内の全線運転再開は難しいとの見解を示した。脱線以外にも電柱や高架橋が損傷する被害が出ており、点検や復旧作業に時間がかかる。18~21日も那須塩原-盛岡間の上下線で運転を取りやめ、その他の区間では本数を減らして運行する。
JR東日本の市川東太郎副社長は「今わかっている被害状況からみて福島―仙台間の被害が大きい。3月内の東北新幹線の全線運転再開は厳しいとみている」との見解を示した。まだ被害状況の把握を進めており、明確な再開時期は見通せないという。
東北新幹線は福島―白石蔵王間での車両脱線に加え、揺れにより電柱が折れたり、レールがたわんだり、高架橋が損傷したりしている。電柱は少なくとも17カ所で損傷しており、中には耐震補強した電柱でも被害が出ているという。
今後は点検や復旧作業を進め、比較的被害が小さいと見られる区間から徐々に再開を目指すほか、首都圏と東北地方を結ぶ在来線の東北本線や常磐線で早期に運転を全線で再開し臨時列車を走らせる考えだ。
脱線した東北新幹線の車両は17両編成のうち14両は全ての車輪が、2両は1部の車輪が線路から外れたという。車両も損傷を受けた。乗客75人と乗務員3人にはけがはなく、乗客はすでに降車している。
JR東日本は2004年の新潟県中越地震で上越新幹線が脱線したのを受け、地震時の脱線対策を進めてきた。今回脱線した車両には車輪がレールから大きく外れないように逸脱防止装置などがついていたという。またレールを地面に固定しレールの転倒を防ぐ装置も同社の新幹線全線の約4割で整備されており、今回脱線した区間にも設置されていた。
地震を感知し列車を緊急停止させる早期地震検知システムも作動したとみられ、なぜ脱線したのか調査を進めている。市川副社長は「被害状況の調査結果に基づき、これまでの取り組みがよかったのかまだ足りなったのかを評価をした上で今後に備えたい」と話した。
地震による脱線からの全線の運転再開には新潟県中越地震の上越新幹線で約2カ月、11年の東日本大震災では東北新幹線で約1カ月半かかった。JR東日本管内で乗客が乗っている新幹線が脱線するのは、04年の新潟県中越地震以来2度目となる。11年の東日本大震災時は、乗客がいない試運転中の新幹線が脱線した。