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【北の富士コラム】豊昇龍は見事だが御嶽海は実に下位力士によく負ける…横綱はとても望めそうにない

2022年5月10日 05時00分

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豊昇龍(左)に押し出しで敗れた御嶽海

豊昇龍(左)に押し出しで敗れた御嶽海

◇9日 大相撲夏場所2日目(両国国技館)
 2日目も2大関が敗れる波乱があったが、初日と違って熱戦が続いた。土俵の内容が良ければ、多少の番狂わせがあったとしても「勝負は時の運」と許せるものである。
 2日目にして早くも、三役以上に勝ちっぱなしなしとなったが、まだまだ13日間も残されている。今場所の全勝優勝がなくなったと思えば、少しも気にならない。面白い相撲さえ見せてくれたなら文句は言うまい。
 そうは言うものの、若隆景の負けは正直言って少し早すぎた感じがする。もう少し勝ち続けてほしかったが、この負けは玉鷲を褒めるしかないだろう。
 立ち合いは若隆景のほうが当たり勝ちし、先手を取って前に出た。ここまでは完全に若隆景ペースだったが、玉鷲が苦しまぎれに右に体を開いて突き落とすと、タイミングがよほど良かったのか、あの足腰が強い若隆景がたまらず前に落ちてしまった。完全に若隆景が攻め勝っていただけに、実にもったいない相撲であった。
 敗因は、相撲がうまく運び過ぎ、勝ちを急いでしまったと思われる。欲を言えば、おっつけより前みつをひいて、寄った方がより万全ではなかっただろうか。しかし、それを言っちゃおしまいである。少々、元気が過ぎたと思ったほうがよいだろう。
 元気と言えば、豊昇龍が素晴らしい相撲で御嶽海を押し出した。初日はもの足りない相撲で、期待を裏切ったが、2日目は立ち合いから頭で思い切り当たり、左からのおっつけで大きな御嶽海の体を浮かせ、一気の出足で押し出した。まわしを取っての相撲が多い印象しかないが、見事な押し相撲を見せてくれた。やはり、血は争えない。朝青龍も組んで良し、離れて良しの万能力士だったが、豊昇龍もどうやら、そんな道を歩くかと思えば楽しみである。それにしても、御嶽海は実に下位力士によく負ける。これでは、横綱はとても望めそうにない。
 正代は連敗、琴ノ若の猛攻をしのいで十分の右を差して攻めたが、土俵際で琴ノ若の突き落としに敗れた。きわどい判定だったが、物言いもつかなかった。正代はかなり不服そうだったが、先場所は完全な負け相撲を、相手の勇み足で勝ちを拾って運の良いところをみせた。神様は平等であった。きっちり帳尻を合わせてくれる。
 心配された照ノ富士は、高安に左を巻き替えられてヒヤリとさせたが、右からの強烈な小手投げで逆転した。初日より立ち合いが良くなっている。前にでている分には、膝の方にも負担がかからない。とにかく前に出ることである。
 それでも先の長さを考えると、このまま無事で取り切れるのは、かなり大変なことではある。よほど気持ちを強く持つことが必要となるが、照ノ富士が今場所をどう乗り切るか。じっくり拝見したいものだ。
 2日目はテレビ観戦。実は幕内の前半戦は不覚にも眠ってしまい、見損なってしまった。年は争えないものだ。
 それでも食欲の方はまだ大丈夫です。今、上野のデパートで北海道展をやっているので、イクラのしょうゆ漬けと海鮮丼と松前漬けを買ってきている。松前漬けには数の子が7本も入っている。どれもこれも痛風が出そうで怖いが、この際だからいただくとしよう。先日の帰省はジンギスカンばかり食べていたので、今晩は家で大北海道展としよう。それではまた、明日。
(元横綱)
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