2006 年 116 巻 6 号 p. 909-915
皮膚科領域におけるEpstein-Barr(EB)ウイルス感染によるリンパ増殖症には,ナチュラルキラー(NK)細胞性のものとT細胞性のものとがある.EBウイルスの感染は典型的には慢性活動性EBウイルス感染症という状態をとり,それを背景としてNK細胞やT細胞の増殖性疾患が生起する.この過程において,蚊刺過敏症(蚊アレルギー)や種痘様水疱症(あるいはその重症型)が皮膚症状としてみられ,危険性のあるEBウイルス感染の重要な臨床的サインとなる.最終的には16歳前後で血球貪食症候群やリンパ腫を併発し,それが終末像となる.年齢分布において,EBウイルス関連NK/T細胞リンパ増殖症は2つのピークをもつ.第一相目はこの慢性活動性EBウイルス感染症を背景とする疾患群が形成する.一方,EBウイルスは中高年の鼻性(nasal)および鼻型(nasal type)の節外性NK/T細胞リンパ腫の原因ともなり,これが二相目をつくる.鼻型の好発部位は皮膚であり皮膚科医もときに遭遇する.