校庭荒らすイノシシから生徒守れ! 焦げた臭いで撃退、愛知の中学校

鈴木裕
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 中学校の校庭を荒らすイノシシから生徒を守ろうと、愛知県瀬戸市の市立幡山中学校がバイオマス発電で出た廃液の臭いで撃退する取り組みを始めた。昼間に学校の敷地内に侵入してくる様子が目撃されたことから、イノシシが嫌がる臭いで追い払う作戦だ。

 同校は瀬戸市南部の丘陵地にある。生徒数約500人。学校の南側には雑木林が広がる。イノシシの出没は夜間で、学校の畑を荒らしたり、グラウンドの芝生が掘り起こされたりした。

 ところが昨秋、台風が過ぎ去った後、野球場とテニスコートの間を走り回る姿が目撃された。今年1月にも敷地内の水路を走る様子が目撃された。「どちらも昼間の出来事で生徒が近くにいたら危険だった」と岡田照明教頭は話す。昼間の出没が複数確認されたことから、対策に本腰を入れることになった。

 電気柵やフェンスの設置は経費がかさむため、バイオマス発電で出た廃液に目を付けた。同市建設課が昨秋、千葉県にある会社「Office try」が考案した忌避剤「ガーデストPro」の実証実験を行い、防獣効果を確かめたことを知り、導入を決めた。

 焦げたような臭いがする廃液をペットボトルの容器に入れ、イノシシが通る場所に設置する仕組み。バイオマス発電プラントで、生木チップから可燃性ガスを発生させるときに出る廃液は、木酢液と同じ成分でありながら濃厚。野生動物が本能的に嫌がる山火事を連想させるとされる。

 幡山中では3月ごろに導入を決め、校庭南側の雑木林沿いや、グラウンド横の畑の周辺に50カ所設置。これまで、イノシシの侵入は、豪雨の直後で臭いが薄れた夜間の1回だけ、という。(鈴木裕)

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