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【ニューヨーク=金子靖志、池田慶太】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日午後(日本時間20日未明)、国連総会で一般討論演説に臨んだ。ロシアのウクライナ侵略が2度目の越年を迎えるシナリオを視野に「全ての力を結集し、侵略者を打ち負かすため団結しなければならない」と述べ、各国首脳らに支援を呼びかけた。
昨年2月にロシアが侵略を始めて以降、ゼレンスキー氏が対面で国連総会に出席し、演説したのは初めてだ。
戦時下を象徴するカーキ色の服装で演壇に立ったゼレンスキー氏は「ロシアが世界を最終戦争に追い込んでいる」と非難し、「戦争犯罪は処罰され、送還された人々は家に戻り、占領者は自分の土地に戻らなければならない」と訴えた。
ロシアによるウクライナからの子供の強制移送に関し「子供たちはウクライナを憎むことを教えられ、家族の絆は断ち切られている」と語り、「これは明らかにジェノサイド(集団虐殺)だ」と強調した。
露軍が占拠を続けるザポリージャ原子力発電所にも言及し「ロシアは他国の原発を『汚い爆弾』に変え、兵器にしようとしている」とロシアを批判した。
約15分間の演説は、侵略を巡って中立的な立場を取る傾向が強い新興・途上国「グローバル・サウス」からの支持取り付けを意識した発言が目立った。ゼレンスキー氏はロシアがウクライナ産穀物の輸出を妨害し、食料を「武器化」していると改めて指摘し「影響はアフリカから東南アジアに及び、脅威となっている」と述べた。
昨年11月に自ら提示した「10項目の和平案」についても「140以上の国や機関が全面的か部分的に支持している」と浸透ぶりをアピールした。
ウクライナの和平案は露軍の完全撤退が柱で、露軍がウクライナの占領地域を維持した形での停戦を求める動きをけん制する意味合いがある。ゼレンスキー氏は20日のウクライナ情勢に関する安全保障理事会の首脳級会合で和平案について説明する意向も明らかにした。