<つなぐ 戦後75年>カメラマンの「良心」に迫る 長崎原爆「焼き場に立つ少年」 記録作家・石飛さん講演

2020年8月8日 07時06分

本来の「焼き場に立つ少年」と自身が主張する反転させた写真が載るチラシを手にする石飛仁さん=台東区で

 今年は被爆から七十五年−。原爆投下後の長崎で撮影されたとされる「焼き場に立つ少年」の写真を巡る講演会「明らかになった少年の素性」が十六日、台東区生涯学習センター(西浅草三)で開かれる。写真は、昨年来日したローマ教皇が核廃絶を訴える演説をした際に傍らにあった。これを裏焼きと主張する記録作家の石飛仁(じん)さん(78)=文京区=が、写した米国人男性の人物像や、被写体の少年が誰なのかを語る。 (井上幸一)
 撮影したのは、米従軍カメラマンだった故ジョー・オダネルさん。息絶えた弟を背負った兄が火葬場で口を固く結んで順番を待つ姿にカメラを向けたとされる。ローマ教皇フランシスコはこの写真を広めており、核廃絶のシンボル的な一枚でもある。
 講演で石飛さんは、写真研究家の吉岡栄二郎さんが、二〇一五年に少年の素性に関して政党機関紙に記した事実などを説明。オダネルさんの米軍での役割などを調べた石飛さんは、四十三年封印してきたトランクを開け、悲惨な被爆写真を明らかにしたカメラマンの「良心」「人間性」について持論を述べる。
 長崎の地元紙の記事で写真が裏焼きの可能性を知った石飛さんは、足元の石標の漢字が反対なことなどから、やはり裏焼きと考えている。「本来の写真なら、背景などから場所も特定できたはずだ。表情も変わってきて、インパクトが違う。なぜ、大手出版社が出版の際に気付かなかったのか」と残念がる。
 講演会は、市民団体「アリの街実行委員会」の主催。午後二時〜四時半で、写真に関してのドキュメンタリー番組も上映する。北畠啓行(ひろゆき)代表(80)は「悲劇を繰り返さないよう、戦争について考える機会にしたい」と話す。
 入場無料、先着二十五人。来場の際はマスク着用。事前申し込みが必要で、申し込みは、住所、氏名、電話・ファクス番号を明記してファクス=電03(3831)3650=へ。
 問い合わせは、実行委=電03(3831)2030=へ。

「焼き場に立つ少年」のパネル写真を傍らに置き、演説で核廃絶の必要性を訴えるローマ教皇フランシスコ=昨年11月、長崎市で


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