福井銀行と福邦銀行、資本提携へ協議
5年で40億円の利益改善
福井銀行と福邦銀行は13日、資本提携に向けた検討を始めると発表した。早ければ2021年3月期中にも資本提携の方針を決める。両行は19年9月に包括提携の協議に入ると発表していた。業務システムの共有なども進め、5年間で累計40億円の利益改善を目指す。他県勢の攻勢が強まる中、福井県を地盤とする両行が事実上の同一陣営として事業を運営する。
両行は同日、包括提携契約を結び、記者会見で具体策を説明した。福井銀行の林正博頭取は「両行のグループ化を視野に最適なあり方を協議する」とし「早ければ20年度中、時間がかかっても21年度には方針を決めたい」と話した。
福邦銀行の渡辺健雄頭取も「福井・福邦の2ブランドは維持するが、資本提携と言ってもホールディングス(持ち株会社化)や連結(子会社化)とかいろいろある」と述べ、様々な方式を探る意向を示した。
両行は資本業務提携を視野に入れた検討をするとして、19年秋に両行の次長級を核とするプロジェクトチームを作り、協議を続けてきた。事業面での協力メニューが固まったことを受け、今後は資本提携にも踏み込む方向で検討する。
連携は「Fプロジェクト」の名称でさまざまな業務で進める。5月11日には福邦銀行の小松支店(石川県小松市)を福井銀行の小松支店(同)に移し、「店舗内店舗」とする。路面店の1階で複数の銀行が同居するのは全国初だという。
同様の方式などを使い、今後5年間で両行合わせて20店舗ほどの統廃合を計画する。現在は福井銀が98店、福邦銀が39店を持つ。計画が実現すれば両行合わせて15%前後の店舗が減ることになる。
福邦銀が勘定系以外の業務に使っているシステムの一部は、福井銀のシステムがあるクラウド上に移す。ソフトの更新や管理コストの削減につながるという。相互に行員を出向させるなど人事交流も進めるほか、セミナーの開催やサービス開発も共同で手掛ける。
福井県内に本店を置く銀行は福井銀、福邦銀の2行のみ。3年後の北陸新幹線敦賀延伸を控え、地域産業の振興や観光振興といった分野で両行に求められる役割は大きい。石川県の北国銀行などが福井で顧客開拓を積極的に進めていることもあり、両行は手を組んで資金需要の掘り起こしやコスト削減に取り組む。
(鈴木卓郎)