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大腸内視鏡検査が必要な便秘とは?

2018/06/27
田中 由佳里(東北大学医学系研究科行動医学助教)

研修医 高脂血症で治療中の40歳代の女性が、便秘の主訴で院内紹介されてきました。大腸内視鏡歴はないのですが、どうしましょうか?

田中 健診は受けていたのかな?

研修医 フルタイムの仕事をされていて毎年職場健診があるようですが、便潜血検査や上下部内視鏡検査は受けていないそうです。便潜血検査は職場健診で行うものだと思っていたんですが、そうではないんですね。

田中 便潜血検査は、職場健診の必須項目ではないんだよね。

研修医 そもそも、患者さんに「便秘で困っています」といわれても、1日おきに排便している人とかいますよね。逆に、1週間に1~2回しか排便しないのに、便秘とは思っていない人もいて……。

田中 「便秘」という言葉は広く知られているんだけど、その意味付けが個々によって排便の「どのポイント」を見て訴えているのか、人によって違うんだよね。

研修医 確かに、下痢だと「水っぽい便」というところで、医療者と患者がそれなりに共通言語で話せますよね。

田中 そうそう。便秘という言葉は、お互いの認識に「ズレ」を生じることがあると頭の片隅においておくことは重要だよね。今回の患者さんは、何の検査が必要になりそうかな?

著者プロフィール

田中 由佳里(仙台厚生病院 消化器内科)●たなか ゆかり氏。2006年新潟大学卒。機能性消化管疾患の研究のため、東北大学大学院に進学し、ストレスと過敏性腸症候群の関連をテーマに研究と臨床に従事。東北大学医学系研究科を経て、2019年から現職。

連載の紹介

田中由佳里の「ハラワタの診かた」
正しい機能性消化管疾患のエビデンス解説サイト「おなかハッカー」や、患者の日常生活課題について多職種連携による解決を目指した「おなかハッカソン」などを開催している消化器内科医が、機能性消化管疾患の面白さをお伝えします。

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