「強硬」一辺倒ではない、手強い現実主義者 中国が見てきた安倍氏

有料記事

聞き手・林望
[PR]

 手ごわい現実主義者だった――。8日、凶弾に倒れた安倍晋三元首相は、どのような政治家として中国の外交専門家の目に映っていたのか。中国社会科学院日本研究所の呉懐中・副所長に聞きました。

――靖国神社への参拝や憲法改正へのこだわりなどから、中国では一般に安倍氏を「タカ派」と警戒してきた人が多いですね。

 安倍氏はタカ派や(対中)強硬派といった言葉で簡単にくくれる政治家ではなかったと思う。北東アジアの情勢変化を踏まえて日本の安全保障は変わらなければならないと唱える一方、経済政策の面では中国との関係も重んじた。「戦後レジームからの脱却」という理念の下、歴史問題では修正主義的な言動が目立ったが、第2次政権での靖国神社参拝は13年の1回にとどめた。安倍氏は、自らの理想を押し通すことが日本の国益に与える負の影響も考慮することのできる「現実主義的保守」の政治家だったのではないか。中国にとっても硬軟両面の顔を見せながら、戦略的にアプローチしてくる手ごわい相手だった。

――安倍政権下の日中関係をどう評価しますか。

 第2次政権の初期は2013…

この記事は有料記事です。残り626文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません