ロシア黒海艦隊の哨戒艇を沈没 ウクライナが無人艇攻撃
【フランクフルト=林英樹】ウクライナ国防省は5日、ロシアが実効支配する南部クリミア半島に接したケルチ海峡近くで、ロシア黒海艦隊の哨戒艇「セルゲイ・コトフ」を水上ドローン(無人艇)で攻撃し、船尾と両舷を損傷させたと発表した。共同作戦に参加したウクライナ海軍によると、同艇が沈没したのを確認したという。
同省情報総局は同日の通信アプリ「テレグラム」で、この攻撃によってロシア人乗組員7人が死亡し、6人が負傷したと発表した。哨戒艇にはヘリコプターが搭載されており、推定被害額は6500万ドル(約98億円)に上るという。
ウクライナのゼレンスキー大統領は同日夜のビデオ演説で「我々の力で何ができるかを証明した」と述べ、哨戒艇の沈没について示唆した。そのうえで「黒海にはロシアのテロリストにとって安全な避難所はなかったし、これからもないだろう」と述べた。
ウクライナ軍は水上ドローンやドローン(無人機)を使い、黒海とクリミア半島への攻撃を強めている。2月14日には黒海でロシアの大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」を水上ドローンで撃沈したと発表した。
米CNNによると、ウクライナ軍は2月初旬の時点でロシア黒海艦隊の3分の1に相当する24隻の軍艦と1隻の潜水艦を無力化したと説明した。
ウクライナ東部の前線で砲弾不足から防戦を強いられる状況が続くなか、ウクライナ軍にはドローン攻撃による戦果をアピールしたい思惑がある。黒海艦隊の戦力が弱まれば、黒海を通じた穀物輸出の安定につながる利点も大きい。