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動画作りの裏側

デーリー東北新聞「ふみづくえ」
リレーエッセイ 2020年9月9日掲載

ジンジャー姉妹 湊山りえ

 YouTubeで「ジンジャー姉妹チャンネル」を開設して1年がたつ。普段、どのように動画作成を進めているのか、その裏側を少し紹介してみようと思う。動画作りは姉妹2人で行っており、姉の私は解説動画やトーク動画、妹のはるは歌の動画がそれぞれの担当だ。

 2人ともデザインの仕事をしているので、動画作りもお手の物と思われがちだが、きちんとした動画作成は初めてのチャレンジ。私的なプロジェクトのため、質にこだわればどこまでもキリがない。技術が未熟な中でも、可能な限り楽しい動画になるよう試行錯誤し、毎回動画を公開している。

 今まで見る側だったYouTubeも、いざ自分がやってみると本当に難しい。初めての南部弁解説動画では、20分の動画のために、カメラと照明の設定に2日、撮影は5時間かかった。まずカメラの前でまともに話せないし、どこを見て話せば良いのかもわからない。まあ人並み程度には話せるだろうと、ナメていた自分に説教してやりたい。しかも、やっとのことで撮り終わった動画データを見返すと、あまりのトークの下手さに目まいがする上、容姿のアラばかり気になって、「果たしてこれを、わざわざ世に出す意味があるのか…」そんな疑念ばかりが湧いてくる。

 気を取り直して動画編集を始めるも、今度は終わりが見えない。無駄な空白や「えーと」「あのー」といった言葉をカットするだけでも時間がかかるが、何回も撮り直したトークのどこを使うか、それがまた悩ましい。「こんなに時間がかかるものなの?」。何度もそう思いながら、とにかく1本完成させようと編集を進める。

 私とはるは、11歳年の離れた姉妹だ。実家にいた頃は高校生と幼児なので深い話をすることもなかったが、大人になってからは仲の良い友人のようで、はると話すのは実際本当に楽しい。お酒を飲みながらおしゃべりをしていると話題が尽きず、動画でもそんな楽しい会話のような雰囲気を出せればと思っている。

 ベースの動画が整ったら、テロップや画像を追加したり、画面の切り替えを入れてメリハリを付けていく。どのような構成にするかはテレビのトーク番組や、他のYouTube動画をかなり数多くリサーチした。緩くて、かつ知的さもある、深夜のトーク番組が理想だ。

 動画の完成までには何度も見返して、無くても文脈が成立するところは思い切ってカット。冗長な部分が無くなり、全体を楽しく見れるようになったら、BGMと効果音を入れて完成だ。初めての動画編集時間は、なんと50時間。ドキドキしながら公開すると、早速暖かいコメントを頂けた。本当にありがたい限り。

 YouTubeの動画投稿は、自分にとって成長の機会でもある。できないことに直面しながらも、少しづつ改善を重ねていく過程は、とても楽しい。また、郷里の八戸に想いを馳せることも格段に増えた。これからも地元八戸や南部弁をテーマに、私たちらしく形にしていけたらと思っている。


<デーリー東北新聞社提供> 
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ジンジャー姉妹
八戸市出身の実の姉妹(湊山りえ・湊山はる)によるクリエイティブユニット。動画投稿サイト「ユーチューブ」で、歌と解説を通して南部弁の魅力を紹介。はるによる「アナと雪の女王」主題歌の南部弁バージョン「雪だるまこへるべ」「生まれではじめで~リプライズ」では、累計1200万回再生を突破。東京都在住。

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