ウクライナ大統領、安保理で支持訴え ロシアの拒否権行使も批判

[国連 20日 ロイター] - ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、国連安全保障理事会の特別会合に出席し、ウクライナの自衛権に対する支持を訴えた。
ゼレンスキー氏が安保理の会合に対面で参加するのは2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻開始以降で初めて。会合にはロシアのラブロフ外相も出席したが、ゼレンスキー氏が退席した後に議場に入ったため、顔を合わせることはなかった。
ゼレンスキー氏は「ウクライナは自衛権を行使している。侵略者に包括的な圧力をかけ、制裁を科し、関連決議に賛成することは、国連憲章を守ることにつながる」と述べた。
一方、ラブロフ氏は西側諸国が「偏狭な地政学的ニーズのみに基づきケースバイケースで国連憲章を利用している」と非難。「これは世界の安定を揺るがし、新たな緊張の温床を悪化させ助長する結果となった。世界的な紛争のリスクが高まった」と主張した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、米国とウクライナによる軍事産業会合が12月に開催されると明らかにした。9月撮影(2023年 ロイター/Mike Segar)
侵攻開始後、安保理はウクライナ情勢を巡り何度も会合を開いたが、ロシアが常任理事国として拒否権を持っているため、主だった行動を起こせていない。
ゼレンスキー氏は安保理の行き詰まりを指摘し、「全ての努力に対し侵略者が拒否権を行使しているため、戦争を止めることは不可能だ」と述べた。
また、国連加盟国の中でも特にグローバルサウス(南半球に多い新興国・途上国)にとって重要な課題となっている国連改革や安保理拡大にも言及。「侵略が終わるのを待つべきではない。現時点で行動する必要がある。われわれの平和への願いが改革の推進力になるはずだ」と語った。
グテレス国連事務総長は同会合で、ロシアによるウクライナ侵攻で「地政学的な緊張と分裂が悪化し、地域の安定が脅かされ、核の脅威が増大し、多極化しつつある世界に深い亀裂が生じている」と述べた。

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トムソン・ロイター

Humeyra Pamuk is a senior foreign policy correspondent based in Washington DC. She covers the U.S. State Department, regularly traveling with U.S. Secretary of State. During her 20 years with Reuters, she has had postings in London, Dubai, Cairo and Turkey, covering everything from the Arab Spring and Syria's civil war to numerous Turkish elections and the Kurdish insurgency in the southeast. In 2017, she won the Knight-Bagehot fellowship program at Columbia University’s School of Journalism. She holds a BA in International Relations and an MA on European Union studies.