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鎌倉期の木製とんぼ出土 白山平泉寺

白山平泉寺旧境内で見つかった竹とんぼの羽根のような木製品=勝山市教育会館で

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 勝山市教委は21日、同市の国史跡白山平泉寺旧境内から、13世紀末〜14世紀前半の鎌倉時代後期のものとみられる、竹とんぼの原型の木製とんぼが出土したと発表した。表裏ともにひねったような傾斜を付ける加工が施されており、保存状態は良好。木製とんぼが出土するのは県内初。全国的にも出土例は少なく、中世の宗教都市・白山平泉寺の繁栄ぶりが改めて裏付けられた。

 平泉寺白山神社から西南西四百メートルの「南谷三千六百坊」の一角で、昨年五月〜今年三月に約百六十平方メートルを調査する中で見つかった。全長一一センチ、幅一・四センチ、厚さ〇・六センチで、木の種類は調査中。軸はないが、中央に直径〇・三センチの円形の穴があり、軸棒とみられる木片も残っていた。左手を押し出して飛ばす右回転型になっている。

 市教委によると、国内で出土した木製とんぼは、奈良県の平城京長屋王跡の奈良時代後半の物が最古。平安時代や鎌倉時代を含め、木製とんぼが発見された遺跡は十カ所にも満たない。

 調査地からは掘立柱建物や井戸の跡などが見つかり、その中の素掘り井戸跡で発見された。井戸は直径一・五メートル、深さ二・五メートル。この木製品のほか、土製器の「かわらけ」、箸や漆器わん、独楽(こま)など約三千点が出土。井戸は神が宿ると考えられていたため、使わなくなった井戸を埋める際に、祭祀(さいし)をして一緒に入れたと考えられるという。

 木製とんぼなどは二十六日午後一時半から、勝山市民交流センターで開かれる白山平泉寺世界遺産講演会で公開される。

 (正津聡)

 

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