2012.09.17

落合博満が〝顔面まひ〟隠さず語った「闘病2週間」

自身の顔面まひ体験を冒頭から話し始めた。マスクで隠すことなくユーモアも交える。強靱な精神力である

「この顔、結構気に入ってるんですよ。見慣れると可愛いんです。50年間も同じような顔を見てきたんですが、この何週間かは別の顔を見ているわけで・・・・・・。『お、ちょっと愛嬌があっていいじゃねぇか』って。皆さんも毎日、鏡で顔を眺めてください。必ず(体調の)変化に気づくはずです。健康であってください」

 約90分にわたった講演会。前中日ドラゴンズ監督の落合博満氏(58)が選んだシメの話題は、講演テーマ「常勝チームの作り方」からは大きく外れた「健康」だった。約500人の聴衆は、その話術に笑いながらも、心配そうな表情を見せた。なぜならこの日、落合氏の顔面左半分が曲がったままだったからだ---。

 9月2日、群馬・伊勢崎市文化会館で開かれた落合氏の講演会は、衝撃的な幕開けとなった。落合氏を巡っては、8月末発売の『週刊ポスト』(9月7日号)が、休養先の和歌山で脳梗塞を起こし、顔面まひで救急車で搬送されたと報じていた。しかし、真相は藪の中・・・・・・。そんなタイミングでの講演会だっただけに、本誌も固唾を飲んで開演を待った。

 講演は予定通りスタート。拍手の中、落合氏は舞台左袖から姿を見せた。歩き方はごく自然、脳梗塞などありえない。が、落合氏が正面を向いた瞬間、会場の空気が揺らいだ。顔がゆがんでいるのだ。それでも、落合氏は淡々と話し始めた。

「え~、私の顔を見て泣かないでくださいね。それが今日一番心配だったんです」

 口調は滑らかで、声もしっかりしている。ただし、少し聞きづらい。口から空気が漏れているようだった。

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