「アンパンマン」シリーズや童謡「手のひらを太陽に」の作詞などで知られる漫画家のやなせたかしさんが6日、生誕100年の節目を迎えた。「アンパンマン」はシリーズ累計発行部数が8千万部を超えるなど今も世代を超えて愛され続け、やなせさんの生涯を振り返るアニメ番組の放送や絵本の新装版刊行なども相次ぐ。(本間英士)
ぶれない献身精神
シリーズの初絵本「あんぱんまん」が刊行されたのは昭和48年。当初は「顔を食べさせるなんて残酷だ」などと大人から不評だったが、子供たちの間ではじわじわと人気を集め、63年のアニメ放送開始で人気が定着した。同シリーズを刊行するフレーベル館によると、累計発行部数は昨年12月時点で約8100万部。ばいきんまんやドキンちゃんなどアニメキャラクター数はギネス世界記録に認定され、現在は2千を超える。
〈そうだ うれしいんだ 生きる よろこび〉。やなせさんが作詞した主題歌「アンパンマンのマーチ」は、冒頭で生の喜びを歌い上げた後、こう続く。
〈たとえ 胸の傷がいたんでも〉
「やなせ先生は子供向けといって、決して作品のレベルを下げていません。それぞれのキャラクターに個性的かつ古びない魅力があり、『困った人を助けるときは、自分の身を削ってでも助ける』というぶれない献身の精神が貫かれています」。やなせ作品の著作権管理を行う同社の寺内勇美・アンパンマン室長は、やなせ作品の魅力を語る。