――便秘は、私の周りにも悩んでいる人が多いです。
辨野さん: | 便秘は医学的に、排便が3日以上出ない状態のことをいうんです。この結果、腸内細菌のバランスが悪化することが起こります。 ある調査によりますと、女性の48%は便秘で悩んでいらっしゃる。同時に、なんと5日に1回しか出していないのも大部分なんです。 |
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――48%ということは、2人に1人ですね。そんなに多いのですね。
男性ではどうなのですか。
辨野さん: | 男性では逆に、ストレスを感じていると軟便や下痢が多いんです。いわゆる過敏性腸症候群です。これには便秘もありますが、基本的には、毎日感じる激しいストレスにより大腸粘膜がヘトヘトに疲れて傷つき、下痢が止まらなくなるんです。体全体のリズムが崩れるとともに、水分吸収がうまくいっていない証拠です。ストレス解消は重要ですね。 |
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――便秘を放置すると、どうなってしまうのですか。
辨野さん: | 便秘が長く続きますと、腸内で腐敗が起こりまして、発がん物質など有害物質が発生するんです。この物質が吸収されると、体に大きな異常がさまざまに出てきます。 例えば、肌が荒れる、体重が増える、体が冷える。顔色が悪い、クマができる、老けて見られる。あるいは、免疫力も低下することも知られています。 |
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――うれしくないことばかりですね。
辨野さん: | さらに、自律神経を乱して頭痛や吐き気につながりますし、大腸がんや大腸ポリープになる可能性が大だとも知られています。 |
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――便秘の原因は何でしょうか。
辨野さん: | 大きく分けて3つあります。 1つは大腸の運動不足。運動量が低下すると、ぜん動運動が十分に起こらないために大腸内に便がとどまって、水分が過剰に吸収されて硬くなってしまいます。運動不足、水分不足、食物繊維不足、腹筋力・インナーマッスルの低下、そして極端なダイエットが原因といわれています。 |
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――2つ目は何ですか。
辨野さん: | ストレスです。 副交感神経の過度の興奮によって、腸管が緊張してしまいます。その結果、便がうまく運ばれずに、ウサギのフンのようなコロコロした便になってしまうんです。 |
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――3つ目は何ですか。
辨野さん: | 食べ物が偏って起こる便秘です。 便が直腸に達しても排便反射が起こらず、直腸に便が停滞してうまく排便できなくなるタイプです。 |
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――運動不足にストレス、そして食べ物の偏り。原因もいろいろあるのですね。
辨野さん: | そのほかに、朝なかなか起きられずトイレに行く時間がないために、平日は出さない。週末になって下剤をのんで、1週間まとめて出すような「週末トイレ症候群」。ウンチのもとにならないパンやおかしなどしか食べない、「出すもののない便秘」です。 |
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――こうした便秘を解消するためにはどうすればいいのでしょうか。
辨野さん: | ヨーグルトを食べたり乳酸菌飲料をとることがとても大事ですね。 下剤を使っても2週間に1度しかウンチが出なかった女性たちに、毎日ヨーグルトを300g以上食べてもらったところ、ほとんど1週間程度でウンチが出るようになったんです。 |
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――下剤でもなかなか出なかったものが、ヨーグルトが効いたのですね。ヨーグルトにはどういう効果があるのですか。
辨野さん: | ヨーグルトを食べると、腸内のビフィズス菌や乳酸菌が酢酸や乳酸を産生し、腸を刺激してぜん動運動を活発化して、便通がよくなるんです。 |
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――ヨーグルトのほかに大事なものはありますか。
辨野さん: | 十分な水も大事です。力まず出る健康なウンチならば水分は80%。しかし、コロコロウンチは水分が70%以下です。通常なら1~2日で大腸を通過する便が、何日も大腸にとどまっていたら水分が吸収されて硬くなってしまいます。 また、運動もとても大切です。若い人ほど運動不足で、腹筋や背筋が弱くて大便を排出する力がないのが現状です。食事をしても、出す力を持たないといい便は出ないんですよ。 |
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――便秘の薬をお使いの方も多いですよね。
辨野さん: | 便秘薬や便秘予防薬に慣れてしまうと、便秘がますますひどくなって、なかなか薬の効果を示さないことが多いです。食生活でご自分の便秘を解消する。あるいは、少しは軽減させる努力をしないと、便秘を改善することはできません。 |
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――薬には頼りすぎないほうがいいのですね。
マイあさ! 健康ライフ「トイレから考える! あなたの健康②」