米国務省、国連大使の台湾訪問を直前に中止
米国務省は12日、ケリー・クラフト国連大使の台湾訪問予定を中止したと発表した。間近に迫った政権移行を理由に挙げている。
クラフト大使は13日から台北を訪れる予定だった。アメリカは長年、台湾と当局者間の接触を制限してきたが、急にこれを終わらせると表明していた。
台湾を自国の一部とみなす中国は、アメリカに対し「危険な行動を取っている」と警告していた。
台湾は残念だとする一方、アメリカの決定を「理解し尊重する」と表明した。
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クラフト氏の台湾訪問は先週発表されたばかりだった。ジョー・バイデン次期大統領が今月20日に大統領に就任する直前のタイミングで、訪問する予定だった。
アナリストらはこの訪問について、米中関係が1年間にわたって悪化を続ける中で、退任間際のドナルド・トランプ大統領が最後に、懸案の台湾問題で存在感を示そうとしていると受け止めていた。
マイク・ポンペオ国務長官は12日、バイデン政権への移行に絡み、週内に予定されていたすべての渡航計画をキャンセルしたと発表した。その中には、自らのヨーロッパ訪問も含まれている。
トランプ政権は、台湾との関係を強化してきた。中国からの強い反発にかかわらず、台湾に武器を売り、高官を送ってきた。
ポンペオ氏は9日、台湾当局者との交流においてアメリカが中国政府を「なだめる」ために数十年前から実施してきた「自主規制」を撤廃すると表明。
トランプ政権最終盤での、アメリカと台湾の外交関係を大きく変える方針転換と受け止められた。
これに対し中国は、「中国の核となる国益を損なう行為はすべて、断固とした反撃に遭い、成功しない」と猛反発した。
中国と台湾の緊張は近年高まっており、中国は台湾を取り戻すためには武力行使も辞さないとしている。
アメリカは多くの国々と同様、台湾と正式な外交関係はない。しかし、台湾の自衛に必要な手段を提供することが、アメリカの法律で定められている。