京大吉田寮「自治どこへ」 大学「倒壊の恐れ」9月末で退寮通告

 築100年を超える京都大の吉田寮(京都市左京区)を巡り、老朽化により倒壊の恐れがあるとして9月末までの退去を求める大学と、寮生の間で対立が続いている。寮生側は学生の意見を考慮しない一方的な決定だと反発するが、大学側は交渉の打ち切りも示唆し、解決の糸口は見えない。

老朽化対策に疑念

 「問題を解決する気が本当にあるのか」。文学部4年の松本拓海さん(23)は、大学の姿勢に強い疑念を抱く。7、8月に開かれた交渉の場で、老朽化対策について曖昧な回答に終始し、改修などの具体的な検討状況を明らかにしないためだ。

 大学は昨年12月、今年9月末までに全寮生が退去し、新規に寮生を募集しないよう求める「基本方針」を公表した。「廃寮」は考慮せず、老朽化対策を進めたいと説明。平成27年建設の新棟の居住者にも退去を求めたことには、「寮が提出する居住者名簿は信用できず、どこに誰が住んでいるのか分からない」と理由を挙げた。

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