NZ新首相「TPP11批准は可能」 APEC前に解決めざす
【シドニー=高橋香織】ニュージーランド(NZ)のアーダーン首相は30日、米国の環太平洋経済連携協定(TPP)離脱後、残る参加11カ国が早期発効をめざす「TPP11」にNZが批准する可能性に言及した。日本などが大筋合意のめどとする11月10~11日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合の前に「障害の解決策を見いだしたい」との意欲を示した。
10月30日の地元ラジオ番組で述べた。26日に発足した新政権は、外国人によるNZの中古住宅購入を禁じるため、TPP11について改めて交渉することを公約に掲げていた。アーダーン氏は首相就任後に事務方からTPP交渉の説明を受けたとした上で、「TPPと不動産購入規制のどちらかしか選べないわけではない」と語った。
APEC参加のためベトナムに出発する前に「TPP11の最大の障害の一つを取り除きたい」と表明。TPP批准と不動産規制の両立について「正しいメカニズムを使えば可能だ」と言明した。
具体的な内容は不明だが、専門家によると、TPP11の署名前に外国人の不動産購入を規制する法律を作ることなどを検討しているもようだ。
ここへきて新政権がTPP11に前向きな姿勢を見せているのは、APECが迫る中でTPP11の大筋合意を求める声がNZ国内で高まっているためだ。酪農業界はTPP参加を強く要求。アーダーン氏は「我々(労働党)は自由貿易を信じており、輸出産業を支援したい」と強調した。
東京では30日~11月1日の日程でAPEC前の最後の首席交渉官会合が開かれている。
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