onomatope* rapsberryは、DMMとonomatope*が企画を進めていくブランドとして、2016年に設立された。ブランドの方向性は、onomatope*の萌え系とは違ったベクトルを持っている。そんなonomatope* rapsberryの2作目『ビッチ姉妹が清純なはずがないっ!!』が1月27日(金)に発売される。ブランドの特徴や最新作の話題を中心にプロデューサー・MOKA氏にお話を伺った。

▲取材にご協力いただいたMOKA氏。イベントでトークショー等も行っておりユーザーにもお馴染み。

ビッチ姉妹が清純なはずがないっ!!

ブランド onomatope* rapsberry
定価 10,584円
発売日 2017/1/27
メディア DVD-ROM
ジャンル ADV
原画 雛祭桃子、o33
シナリオ 紫苑憧朋香、生田あわる、他

姉にそそのかされ、学園内でやりたい放題

デビュー作『ビッチ姉ちゃんが清純なはずがないっ!』の方向性をそのままに、ヒロイン10人という前作以上のボリュームで送るビッチヒロインAVG。風変わりな姉妹に囲まれて生活する主人公は、思いを寄せる幼馴染に告白するも、あえなく玉砕。見返すべく生徒会長に立候補するのだが、そこでのトラブルから、彼の人生は大きく変わることになる。

純愛系とは異なる訳ありヒロインが多数登場

―――onomatope* raspberry設立の経緯を教えてください。

MOKA:もともとonomatope*というのは、明るくて楽しいゲームを作ってきました。でもDMMさんと話をする中で、もうちょっと毛色の違うゲームを作ろうとなりました。もう少し大人のゲームというか、ヒロインの年齢が高かったり非処女ヒロインがいたり。こんな内容ってonomatope*のユーザーだとひきつけを起こしかねないんですが(笑)、そういうコンセプトで作り始めたんです。実はデビュー作の『ビッチ姉ちゃんが清純なはずがないっ!』は当初はDL専売の予定だったので、もうちょっと黒っぽい内容だったんです。でもパッケージ販売もしようということになって、少し抑えめにした感じですね。
 

―――そんな風に作られたデビュー作ですが、ユーザーの反応はいかがでしたか?

MOKA:反応というか、onomatope*とはユーザー層が違っていましたからね。3割くらいしか被っていなかったんじゃないかな。だから要望といっても「もっとエロく!」みたいなのが多くて。onomatope*のユーザーさんは「ちょっと主人公の性格がキツいっす」みたいなのもありましたね。

―――製作側としては、いかがでしたか?

MOKA:onomatope* raspberryのディレクターは新堂真弓なんですけど、僕は内容について全くブレーキをかけていないんです。女性のほうがエロシーンに歯止めが利かないんですね(笑)。ヒロインの設定も重かったりキツい性格だったり。特に女の子にひどいことって男性だとできないんですよね。かわいそうだなって。そこは情け容赦がないというか。前作も今作も、「ちょっといい話だな」っていうところは、大体僕がブレーキをかけているところです(笑)。

―――そういうものなんですね。

MOKA:シナリオも女性が書いているんですよ。でも、そういう部分がonomatope* rapsberryの独自性になっているので、敢えて突っ走ってもらっています。僕があまり手を出しちゃうとonomatope*の作品になってしまうので。もちろんシナリオの最後はいい感じに終わりますが、エロシーンに関しては鬼畜ゲーなんじゃないかって勢いです。

―――新作『ビッチ姉妹が清純なはずがないっ!!』のコンセプトを教えてください。

MOKA:基本的に前作と同じです。「ブラコンなお姉ちゃんがいて、色々そそのかされて主人公が学園の女の子にやりたい放題やる」という内容が前作も好評でしたから。だから今作はそれをさらに進めた感じですね。

―――前作ありき、ということですか?

MOKA:作品につながりはありません。ヒロインも違いますし。コンセプトが一緒ということですね。だから前作をプレイしていなくても『ビッチ姉妹が清純なはずがないっ!!』は楽しめますし、今作を面白いと感じた人には『ビッチ姉ちゃんが清純なはずがないっ!』も楽しんでもらえると思います。まあ、前作で評価の高かったところを引き継いだ感じですね。おかげでヒロインは10人に増えましたし、それに合わせてイベントCGも増えました。それと、複数キャラが絡んでいるイベントCGが多いんですよ。おかげで制作に時間がかかっています。原画家さんふたりでやっているんですが、「描いても描いても終わらない」って言っています(笑)。

―――ヒロイン10人は多いですよね。どういう経緯で10人になったんですか?

MOKA:前作に負けないようにってキャラデザインを進めていったら、原画の雛祭桃子さんたちが、いいデザインのキャラをたくさん描いてくれるんですよ。「この子がかわいい、この子もいい」っていうことで10人になってしまったんです。本当は前作同様8人くらいにしたかったんですけど無理でした。とはいえ10人のヒロインすべて個別エンディングというわけではないんです。何人かを組み合わせて、そのグループごとにエンディングを用意している感じですね。

―――それにしてもDLを前提に考えていたブランドとしてはヒロイン数が多いですよね。

MOKA:だから当初はこんな大きなゲームにする予定じゃなかったんです。DLなのでコンパクトにする予定だったんですが、やはりパッケージのフルプライスとなれば、それにふさわしいボリュームというのはありますから。とはいえ今回はヒロインやCGも増えているので、前作より1000円高くなっています。

―――なるほど。

MOKA:もちろん分割して出すことも可能です。ウチがやはりDMMさんとやっているD:drive.ブランドでは「ツゴウノイイ」シリーズもやっていますから。ただ、同じことをonomatope* rapsberryでやるのであれば、何か方法を考えないといけませんからね。

タイトルに「ビッチ」だからこその思い切ったヒロインと物語

―――さて『ビッチ姉妹が清純なはずがないっ!!』ですが、どのような作品ですか?

MOKA:主人公は常に女の子といい感じの距離にいて、ところが告白するとフラれてしまうんです。それでへこんでいるところをお姉ちゃんがそそのかす──前作と基本は一緒ですね。まあ、フラれるところは前作より多少マイルドにはしてありますが。とにかく主人公の家族関係が崩壊していて、両親は死んでいて、姉妹との家族関係はエッチで構築しているんです。それがあるから、「そうか、ほかの女のことも家族になっちゃえばいいんだ」って(笑)。

―――そしてドラマは先ほど言われたように、個別ルートではなく、複数ヒロインとの中で進んでいくわけですね。

MOKA:なにせ主人公は自分の姉妹との関係が出来上がっているので、そこは切れませんから。そんな中でほかのヒロインと関係していく中で、誰かの悩みのようなものをみんなで解決していく、という流れですね。

―――そこだけ聞くと、純愛系の青春群像劇みたいですね(笑)。

MOKA:そうですね。でも解決方法って突っ込んで出すだけなので(笑)。とにかく解決するヒロインの悩みというのが重いんです。普通のゲームのように展開させたら、最後は生きるのが辛くなりかねない。そこであっけらかんとした女の子や明るい女の子を絡めていくことで、なんとなく解決しちゃうという感じですね。

―――そういう作品の面白さを的確に伝えるというのは、難しそうですね。

MOKA:でも、タイトルに「ビッチ」って入っているので、純愛系が好きなユーザーは手に取らないんですよ。ビッチ系のエロゲーだとわかって買ってくれる。そういうユーザーさんはちゃんとエロが盛り込んであれば、物語性に対して拒絶反応はあまりないので。HPのキャラ紹介でも変な女の子だって書いてあるんですが、プレイしてみると「なるほど、変なのはそういう理由があるからか」って納得してくれる。実は前作も同じだったんですけれど、「単なる抜きゲーかと思ったらシナリオがよかった」って好意的な意見が多かったんです。そのあたりはキャラクター作りがうまくいっているからかな、とは思っています。

―――わかりやすいタイトル付けというのも、一つの予防線になっているんですね。

MOKA:そうですね。それとやはりDLを想定しているので、セールスポイントがわかりやすいほうがいい。DLのユーザーって欲しいものをピンポイントで買うイメージですよね。だから前作は「ビッチ姉」で今回は「ビッチ姉妹」。わかりやすいし間違えようがない。DLのユーザーさんってリビドーに正直なんだと思うんです。商品情報を吟味して買うというより、自分の趣味を検索して買う。なので、その検索ワードを我々が拾って、届けてあげる義務があるのかなと思います。

―――キャラデザインなどでこだわった部分などを教えてください。

MOKA:雛祭桃子さんの絵はロリっぽいところがあるので、少し等身を上げて大人っぽくしました。前作から絵も進化していると思うんですよね。雛祭さんが原画だって気づかない人もいたので。あと、制服デザインもDMMさんから「おとなしく、シックなデザインがいい」と言われましたし、髪の色も基本は黒系に統一しました。そのあたりもあって黒パッケージっぽい空気感があるのかもしれません。まあメインのヒロイン姉妹は明るめの髪の色にしましたけどね。

業界活性化のためにも新人アーティストに活躍の場を

―――作品の特色といえば、エンディング曲に出演声優のユニットを起用したりもされていますよね。

MOKA:これはもう10年くらい前からなんですが、新人の子が出てくる場所が本当に少なくなってしまっていたんです。なのでうちの作品はそういうアーティストにエンディング曲をお願いして、イベントなども一緒にやっていこうと続けてきたんです。今回はまきいづみさんがいろいろと仕掛けているユニット・valqourzがあるというので、ならば一緒にやろうぜ、と。起用を決めた時には、ユニット名も決まってなかったんですけどね(笑)。

―――確かにMOKAさんは他ブランドでも新人アーティストを積極的に起用しています。

MOKA:新しい人材が出てこない業界は息詰まると思うんです。それに新しいお客さんを連れてくるのは、いつの時代もやはり新しい人材なんですよ。もちろんゲームソングにしても声優にしても人気と実績のある人を使う方法を否定しませんよ。でも、それだけにしてしまうと、新しいユーザーが入ってこなくなるんじゃないか、結果として業界が終わるんじゃないかという不安が常にあるんです。だから他のジャンルで頑張ってきた人が美少女ゲーム業界に興味を持ったのであれば、うちでやりませんか?と。そういうことなんです。

―――発売に向けての仕掛けなどはいかがですか?

MOKA:電気外祭りはホビボックスさんで出演声優サイン会を、また1月7日~8日深夜にCLOCKUPさんとイベントをやります。お客さんと近づける展開を仕掛けていきたいですね。

―――今後のonomatope* rapsberryの展開はどうなりますか?

MOKA:基本はこれまでと同じ方針ですが、DLメインの低価格もやるかもしれません。いろいろ実験もしていきたいですね。