【甘辛戦記】“零細血統”アクター居城オーナー大偉業

2015.12.28


ゴールドアクター【拡大】

 今年のオーラスGPをひと言で表現するなら、月並みとはいえ、「競馬にはロマンがある」(吉田隼騎手)が一番しっくりとくる。

 大金星をあげたゴールドアクターは夏の時点ではまだ1000万下の身。その洞爺湖特別をきっかけに準OP→GII→GIと一気に駆け抜けてしまった。もちろん、この一気呵成ぶりもロマンを感じさせる事象には違いないが、社台グループ&ディープインパクト全盛時代のなか、“非社台”、それも母が障害馬という“零細血統”が最も重要なスパイスとなっている。

 同馬を生産した北勝(ほくしょう)ファームの代表で、90歳という高齢のため来場できなかった居城(いしろ)要オーナーに替わって表彰台に立った長男の寿与(ひさよ)さん(51)が言う。

 「母父キョウワアリシバは、この母親1頭しかいない。もともと障害馬にしようと思ってスクリーンヒーローをつけた。ウチだけの“ダビスタ”をやっただけ(笑)。モーリス陣営もそうだと思うけど、(スクリーンヒーロー産駒が)これほど走るとは思わなかったのでは?」

 父の要オーナーは約50年前に道営競馬の馬主となり、その間に牧場も買い取ってしまった、子息いわく「馬バカ」。しかも、前走のアルゼンチン共和国杯が馬主人生初めての重賞制覇だった。そして一気のGP奪取。美浦トレセン近郊で競走馬の飼料会社を営む寿与氏が父の気持ちを代弁する。

 「中央競馬では苦汁を何度も味わってきた。こんなにあっさり勝てるとは…。まさに漫画の世界。生きているうちに天下統一をしてしまった。オヤジ、おめでとう」

 ギャンブルというくくりを一瞬忘れてしまいそうになるほどの、寒風吹きすさぶ師走の夢物語。だから競馬はやめられない、ということか。 (石沢鉄平)

 

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