香港独立系メディアの立場新聞、閉鎖へ-警察が幹部ら逮捕
Natalie Lung、Kari Soo Lindberg-
米議会で証言した歌手のデニス・ホー氏も逮捕された
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香港記者協会主席の自宅も強制捜査-コンピューターなど押収される
香港の独立系メディア「立場新聞」は29日、幹部らの逮捕を受け、同日付でスタッフ全員を解雇し業務を打ち切ると発表した。
香港警察の国家安全当局は警官200人余りを動員し、立場新聞の編集室を家宅捜索。犯罪条例に反する扇動的な出版活動で共謀したとして立場新聞に関係する7人を逮捕した。
香港警察、独立系メディアを家宅捜索-歌手デニス・ホー氏ら6人逮捕
香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によれば、29日に逮捕されたのは立場新聞の林紹桐・編集長代行や最近まで編集長だった鍾沛権氏ら。
SCMPはまた、米議会で香港の状況について証言した歌手のデニス・ホー(何韻詩)氏と弁護士で元立法会(議会)議員の呉靄儀氏も立場新聞の元取締役として逮捕されたと報道。ホー氏の逮捕は同氏のフェイスブックで確認された。
同条例違反では、最長2年の禁錮刑と5000香港ドル(約7万4000円)の罰金が科される。
米国に本部を置く非営利団体のジャーナリスト保護委員会(CPJ)は立場新聞に対する強制捜査を非難し、逮捕者の釈放を求めた。
香港の外国人記者クラブ(FCC、香港外国記者会)は「深い憂慮」を表明。「香港における報道の自由に対するさらなる打撃だ」とする声明を発表した。
香港記者協会(HKJA)主席(会長)を務める立場新聞編集者の陳朗昇(ロンソン・チャン)氏は自宅の外で急きょ記者会見を開き、警察が29日朝に自宅を捜索し、コンピューターや記者証、銀行カードを押収したと述べた。
HKJAはフェイスブックに投稿した声明で、立場新聞関係者の逮捕と報道機関に対する家宅捜索に「深い懸念」を示すとし、香港の憲法に相当する「基本法に従い報道の自由を守るよう政府に促す」とコメントした。
2014年創業の立場新聞は、19年に香港で広がった民主化デモの現場を積極的に取材し、香港有数の独立系民主派メディアとして知られていた。
原題:Hong Kong’s Stand News to Shut After Executives Arrested(抜粋)