林外相とゼレンスキー大統領、2国間文書の交渉開始で一致

ウクライナのゼレンスキー大統領(左)を表敬訪問し握手する林外相=9日、キーウ(ゼレンスキー氏の通信アプリから・共同)
ウクライナのゼレンスキー大統領(左)を表敬訪問し握手する林外相=9日、キーウ(ゼレンスキー氏の通信アプリから・共同)

【キーウ=原川貴郎】林芳正外相は9日(日本時間同)、ウクライナを訪問し、首都キーウ(キエフ)でゼレンスキー大統領、シュミハリ首相と面会したほか、クレバ外相との会談に臨んだ。林氏はクレバ氏との共同記者会見で、ロシアの侵略を受けるウクライナへの支援体制を強化するため、外務省内に「ウクライナ経済復興推進室」を新設すると表明した。

林氏は会談で、厳しい冬に備え、月内にも大型変圧施設2基を供与する予定だと伝えた。不発弾対策としてクレーン付きトラック24台を渡すことも明らかにし、会談後に供与式を行った。

ゼレンスキー氏との面会では、ウクライナ支援に向けた2国間文書作成のための交渉を始めることで一致した。ゼレンスキー氏は面会で「いかなる種類の日本からの支援も歓迎したい」と強調。通信アプリへの投稿でも林氏のウクライナ訪問に触れ、日本は「アジアでの主要なパートナー」だとして謝意を示した。

侵攻開始後、日本政府の要人でウクライナを訪問したのは3月の岸田文雄首相以来となる。ポーランドなど4カ国を歴訪していた林氏は、当初は今月9日にワルシャワを出発、帰国する予定だった。外務省は安全確保の観点から、林氏がウクライナに入国した後に同国訪問の日程を公表した。

今回の訪問には楽天の三木谷浩史会長兼社長ら日本企業関係者も同行した。復興支援に向けた民間企業の投資拡大を推進する狙いがあり、企業関係者とウクライナ側との意見交換の場も設けた。

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