奈良県職員過労自殺、両親勝訴 県に6800万円賠償命令 地裁判決

奈良県職員だった西田幹さんを過労自殺で失った父親の裕一さん(左)と母親の隆子さん。奈良地裁の判決前に取材に応じた裕一さんは、親孝行だった自慢の息子の無念を訴えて涙ぐんだ=奈良県大和郡山市で2022年5月19日、川平愛撮影
奈良県職員だった西田幹さんを過労自殺で失った父親の裕一さん(左)と母親の隆子さん。奈良地裁の判決前に取材に応じた裕一さんは、親孝行だった自慢の息子の無念を訴えて涙ぐんだ=奈良県大和郡山市で2022年5月19日、川平愛撮影

 奈良県職員の西田幹(つよし)さん(当時35歳)がうつ病を発症して自殺したのは、長時間の時間外労働に対する適切な対応を怠ったことが原因だとして、両親が県に約1億200万円の損害賠償を求めた訴訟で、奈良地裁(寺本佳子裁判長)は31日、県に約6800万円の賠償を命じた。

 訴状などによると、西田さんは県教育委員会の教職員課で勤務していた2015年春、うつ病を発症した。直前1カ月間の残業時間は「過労死ライン」を大幅に上回り、約150時間に達していた。16年4月に砂防・災害対策課に異動した後、産業医が労働時間を改善する必要性などを職場に指摘したが、西田さんの過重労働は変わらず、17年5月21日に自宅で自ら命を絶った。

 両親は県に情報公開請求し、西田さんの過重労働を裏付ける資料を収集。地方公務員災害補償基金県支部は19年、自殺は過重労働でうつ病を発症したことが原因だったとして、両親の申請通り公務災害(労災)と認定。「県の対応は不十分と言わざるを得ない」と指摘していた。

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