国際司法裁判所がコソボ独立を支持
【ブリュッセル=瀬能繁】国際司法裁判所(ICJ)は22日、2008年2月のコソボによるセルビアからの独立宣言を妥当とする判断を示した。法的拘束力はないものの、ICJがコソボ独立に事実上のお墨付きを与えたことで、コソボが国際社会から独立国家として承認される公算が大きくなった。
セルビアは「コソボは歴史的にセルビア領土」として独立承認に反対してきた。だがICJの小和田恒所長はコソボ独立について「国際法違反にはあたらない」との見解を表明。今回の判断により、コソボの将来の欧州連合(EU)加盟にも道が開かれる見通しとなったが、セルビア側は強く反発。将来のセルビアのEU加盟にも大きな影響を与える可能性がある。
コソボは旧ユーゴスラビアのセルビアの自治州だったが、分離独立を求めるアルバニア系住民とセルビア人の民族対立が激化。07年に国連仲介によるコソボとセルビアの交渉が決裂し、08年にコソボは一方的に独立を宣言した。
国連は08年の総会で、コソボの独立宣言の合法性を判断するようICJに求める決議を賛成多数で採択。ICJは37カ国から意見聴取するなどして審理を進めてきた。これまで日米、EU加盟国の大半など69カ国がコソボを独立国家として承認している。