エクアドル、TPPに加盟を申請 輸出先多様化狙う
【米州総局=宮本英威】南米エクアドルが環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。原油に依存する経済構造を切り替え、アジア太平洋地域に輸出先を多様化することを狙う。現状の自由貿易協定(FTA)の相手は中南米地域が中心となっている。TPPの求める水準を満たすにはかなりの作業が必要になるとみられ、加盟が円滑に進むかは不透明だ。
エクアドル外務省の公式ツイッターが17日付で明らかにした。文書は寄託国であるニュージーランド(NZ)政府に提出した。NZ外務貿易省は日本経済新聞に対し、「エクアドルから17日に正式な申請を受け取り、他の加盟国と共有した」と認めた。そのうえで「NZは長く、TPPの高い水準を満たす国・地域の加盟によるTPPの成長を支持してきた」と述べた。
ラソ大統領は9月、スペイン通信とのインタビューで「経済規模が世界で上位10番に入るような国や地域とFTAを結びたい。米国、中国、日本、韓国などだ」と述べていた。
TPPへの加盟を巡っては英国に加え、中国や台湾が加盟を相次いで申請するなど動きが活発になっている。中南米で新たな加盟に向けた動きが具体化するのはエクアドルが初めてとなる。TPPに署名した11カ国には中南米ではメキシコ、チリ、ペルーが含まれている。
エクアドルは2007年1月から17年5月までのコレア政権は反米左派色が強かった。社会保障を強化し、貿易も保護主義的な色彩が強かったため、FTA網はチリなどに限られている。
17年5月に就任したモレノ大統領は政策を転換して開放的な経済を目指した。21年5月に就任した元銀行頭取のラソ大統領はその路線を引き継いでいる。メキシコ、チリ、コロンビア、ペルーで構成する経済共同体「太平洋同盟」への加盟も目指している。