西日本皮膚科
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症例
マンソン孤虫症の 3 例 ―― PCR 法による原因寄生虫種の同定 ――
園崎 哲大久保 優子大嶺 卓也宮城 拓也苅谷 嘉之山本 雄一高橋 健造上里 博
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2016 年 78 巻 5 号 p. 522-527

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抄録

症例 1 は 58 歳,女性。症例 2 は 68 歳,男性。症例 3 は 56 歳,男性。各患者ともヘビ,カエル,ニワトリ,イノシシなどの生食はないという。3 症例中,1 例はマンソン弧虫症に典型的な皮下腫瘤であったが,症例 1,3 の皮疹は線状ないし帯状に配列する丘疹,紅斑の皮膚爬行疹を呈した。いずれの症例も病理組織学的に皮内にコッサ染色陽性の同心円状物質,いわゆる石灰小体をもつ虫体が確認された。血清のmultiple-dot ELISA 法ではマンソン弧虫に対する抗体が陽性であった。また,3 症例とも,PCR と direct sequencing 法にてマンソン裂頭条虫(Spirometra erinaceieuropaei)によるマンソン弧虫症と診断した。各症例とも治療と診断を兼ねて全切除した。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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