“Zippar”とは何か?

 次世代自走型ロープウェイ“Zippar”の特徴は従来のロープウェイでは困難なカーブや分岐が可能ななこと。ロープウェイやゴンドラリフトでは人が乗るゴンドラ部分はワイヤーロープに固定されていてワイヤーロープを引っ張ることでゴンドラを移動させます。一方、“Zippar”は自走型なので、ゴンドラの車輪がワイヤーロープの上を自走する仕組みです。この構造がカーブや分岐を可能にしています。

 

神奈川新聞に掲載

“Zippar”の開発を進めているのはベンチャー企業の「ジップインフラストラクチャー」。

 

 この度、新たな拠点を秦野市菩提に開所したことをうけて、同社社長へのインタビュー記事が令和4年5月19日付け神奈川新聞に掲載されました。

 

秦野発 夢の乗り物を

電動自走型ロープウェイ 実用化向け実験線開設へ

ベンチャー企業が拠点

 都市部での新たな交通システムを目指し、「電動自走型ロープウェイ」の開発を進めるベンチャー企業「ジップインフラストラクチャー」の拠点が秦野市菩提の工業団地の一角に開所した。夏には従来のロープウェイでは困難なカーブや分岐などを備えた実験線を開設し、一般乗車などで8人乗りのモデルの安全性を検証していく。東京から秦野に本社を移し「秦野発」で開発を進める同社が目標に据えるのは、2025年大阪・関西万博での実用化だ。

 

関連動画がU-tubeで紹介されています。

<コンセプトムービー>

 

 

 

<プロモーションビデオ>

 

開発拠点を訪問しました。

 この菩提の新拠点を、令和4年9月10日の午後、秦野市議の吉村慶一氏、中井町議の多田勲氏と私の3人で訪問しました。

(左から、吉村秦野市議、須知代表取締役CEO、私、多田中井町議)

 

 体育館より広く天井の高い建屋内で社長と面会。実験線はこの建屋内から屋外に伸びていて、屋外では実験線はカーブや傾斜に対応させています。

(開発拠点の建屋)

(カーブに対応する実験線)

 

 この実験線を見ながら社長から説明を受けました。先ずはZipparの特徴であり、通常のロープウェイでは対応できないカーブや分岐が可能である旨の説明があり、なおかつ安価であることを強調していました。特許を持っていることも強みとのことです。カーブに関しては半径20メートル(R20)まで可能で、これにより一般の交差点で曲がることが可能とのことです。私たちが訪問した際は人が乗るゴンドラの部分は無かったのですが、11月には試乗会を予定しているとのことでした。

 現時点でZippar導入の検討をしているのは、上野動物園、長崎県のハウステンボス、そして秦野市とのことで、上野動物園は距離は短く約300メートル程度で東京都交通局が発注しているとのことです。

 更に社長は、建設に要する期間が短期間であること、道路上部を占有するため土地の買収は不要である点、動力がモーターバッテリーであるので静かである点も利点としていました。河川敷の施設に関しては、技術的には問題ないとしたうえで、許可は下りないだろうとのことでした。

 実際に開設となると見逃せないのが収益性です。社長の説明では一日あたりの利用者数が5,000人を超えると収支が見合う、国土交通省の補助を見込むと2,500人以上と試算しているとのことです。気になる運賃ですが、200円/3kmとのこと。駅は500メートル間隔程度、傾斜は10%まで運行可能、速度は36km/hとのこと。10%の傾斜まで可能ということは通常の道路の傾斜には対応できるということになります。この際のやり取りで「ヤビツ峠までの開設は可能」という話がありました。速度に関しては決して速くはないのですが、渋滞や赤信号による停止が一切ないので予想以上に早く目的地に到着できます。

 見学に参加した3人の議員は夫々秦野市議、中井町議、二宮町議ということで、かつての軽便鉄道の経路の自治体であることから、軽便鉄道のルートに沿ってZipparが開設出来たら夢が広がる、と言った話で盛り上がりました。前述の11月に予定している試乗会にはぜひ参加して皆様にその様子をお伝えします。

 

(パンフレット 表)

(パンフレット 裏)