2016 年 22 巻 p. 13-29
近年,海洋研究開発機構は多くの地震探査航海を日本海で実施し,その探査中マルチビームによる高品質な海底地形データを同時に取得している.海底地形はその海域におけるテクトニクスや構造発達史を解明する手かがりの1つであり,地震研究においても,例えば震源断層のパラメータの検討の観点から重要である.したがって,高品質な海底地形データを活用することができれば,断層の長さに関する検討の精度が上がり,震源断層の大きさの議論の進展にもつながる.その結果,日本海における地震活動・活構造と地殻構造の関係をより統合的に研究を推進することができる.本報告では,地震探査時に取得された海底地形データを加えた日本海全域及びその周辺の地形データを用いて,それらを統合したDEM(数値標高モデル:Digital Elevation Model)データを作り,さらにそのデータを用いて方向依存性のない立体感が得られる赤色立体地図を作製した結果について記す.