ハリー吉田のオールナイトニッポンR 2000年2月7日 ゲスト甲斐よしひろ

荘口 ハリー吉田のオールナイトニッポンR。今夜のテーマは、”90分でわかる映画と音楽の関係”と言う訳で、まずは、音楽業界からビッグゲストをお迎えしました。ハリーさんから紹介してください。
吉田 えー、2回目、来て頂きました。こんな夜分にまた、ありがとうございます。甲斐よしひろさん。(拍手)
甲斐 どうもこんばんわ。
吉田 いやー、なんかさっきまでねー、一緒にこう飲んでた雰囲気でね、なんか非常にこう。
甲斐 飲んでて。
吉田 こんな事言って失礼なんですけどね。
甲斐 パっと言われて、”うん”って言っちゃったの。
吉田・荘口 (笑)
荘口 なんで後悔してるんですか。
甲斐 いやいや(笑)。
荘口 来ちゃったよ、また来ちゃった、こんな時間に。
甲斐 かなり泥酔してたんで、何に対して俺は”うん”と言ったのかを忘れてるんだよ。でも、”うん”と言ったのだけ覚えてるの。”うん”と言った。オールナイトニッポン。ハリーの番組。みたいな感じでね。
荘口 あー、もしかしたら、もっと他の大事な事もなんか・・。
甲斐 昼間、バッと起きたのよ。そしたら、”あ、ハリーと約束したな”と言うのだけは覚えてて。
吉田 留守電入ってましたよ。
甲斐 でも、何の内容だったっけって思ったのよ。そしたら、でも、全然急に関係ない所から、”ハリーを信じてぇ〜”みたいな感じのが急に聞こえて来て。
荘口 (笑)ちょっと待って下さいよ。それ、何ですか、それいったい(笑)。
吉田 何か、訳わかんない事になって来たなー。
荘口 で、留守電が入ってたんですか、甲斐さんから。
吉田 入ってましたね。クールにね、甲斐さんに電話しないで、マネージャーに電話して。クールに(笑)。
甲斐 それは、なかなか。やっぱり二人だけで行くと、あの、マネージャーちょっと、感情的になりますから。
荘口 あ、そうですか、やっぱり。
甲斐 いや、人によっては。
荘口 なるほどね。
甲斐 その辺が、さすがにやっぱり現場のメンタリティを考えて。
荘口・吉田 (笑)。
甲斐 何がメンタリティだ。
荘口 ちょっと待ってください。その甲斐さんのよくあるパターン、持ち上げてすぐ落とすと言う。
甲斐 ハリーを信じてぇ〜。
荘口 何よ、またもう〜(笑)。
吉田 僕でもねえ、いろいろアーチストとねぇ、つき合って来ましたけどね。
荘口 はい。
吉田 飲んで楽しいアーチストって初めてですよ。
甲斐 (笑)。
荘口 ちょっと待って下さい。それまでのアーチストは、楽しくなかったんですか?
吉田 楽しくないって言うかねー。
甲斐 やっぱり、志ん朝と談志を足して2で割って。
甲斐・吉田・荘口 (笑)。
荘口 ものすごい巨塔ばっかり足して2で割っちゃって。
吉田 番組も盛り上がる訳だし、僕自身も楽しいんでね。
荘口 はぁー、飲んで、どんな事話し合ってんですか?二人は。
甲斐 言っとくけど、音楽の話は全然しない。
荘口 え?熱く語り合ってるんじゃないですか?
甲斐 違う違う違う。音楽を聴く場には行くけど。
吉田 (笑)。
甲斐 よくね、それはね、絶えず音楽がなってますよ。
吉田 あ、音楽はありますね。
甲斐 だって、生バン、昨日言ったの、生バンツアーですからね。
吉田 あるいは、ロックがかかってるバーとか。
甲斐 そうそうそう。
吉田 あの、生演奏の変なダンスホール、行きましたよね?(笑)。
荘口 何ですか、それ。変なダンスホールって。
吉田 いや、大正ロマネスクみたいなね。
甲斐 今ね、六本木と西麻布界隈でね、生バン系、多いのよ。
吉田 そうなんですよね。ひとつのトレンドかも知れないですよ。
荘口 昔の曲をやってるんですか?
吉田 もう、いろんな曲ですよ。
甲斐 70年代、80年代ね。
吉田 まあ、ロックですね。
甲斐 だいたいハリーと僕、最初に出会って飲んだバーが、もうすごい薄暗いロック喫茶ですから。
吉田 (笑)。
荘口 今時(笑)。
甲斐 今時、90年代後半ロック喫茶だよ。
荘口 あるんですか?それ。
甲斐 あるの、あるの。
吉田 あるんですよ。しかも、照明じゃなくて、ろうそくですから(笑)。
荘口 えー?怪しい。
甲斐 それで今、僕がよく会ってるのは、すごく換気のいいロック喫茶。明るい。
荘口 (笑)タバコの煙、モウモウじゃなくて、喚起のいい。はぁー。
で、こんな話してると、すぐ終わっちゃうから、また。映画の話、しましょう、映画の話。
吉田 今日のテーマは映画なんですよ。なぜ、甲斐さん、来て頂いたかと言うと、あのー、いろんな意味が。甲斐さん、映画、仕事で関わった事ってあります?そう言えば。
甲斐 いや、全然。あ・・。
吉田 何かね、すごく関わってるような、僕、印象があったんですね。
甲斐 えーっとね、邦画で1本だけね、あるんですけど。安部譲二さんが原作の。
吉田 はいはい。それは音楽をと言う?
甲斐 うん。1曲、書き下ろしたんですけど。
吉田 あ、そうですか。へぇ〜。
甲斐 でも、あのー、僕の、昔、甲斐バンドの時書いた「ちんぴら」が、一番大事な所のドーンと桜吹雪で陣内が、パーっと歩いてくる所で使われたと言う。
吉田 あ、なるほど。
甲斐 何で、書き下ろしたんだ、じゃあ俺は、みたいな。
吉田・荘口 (笑)。
甲斐 そう言うのはあったんですけど(笑)。
吉田 あとあのー、村上龍さんなんかとたぶん親しいので。
甲斐 そうですね。
吉田 あのー、映画の話とかよくされるのかなーと思って。
甲斐 うん、だからね、何て言うか、僕のまわりの関係者は、映画関係者の方が多いんですよ。
吉田 そうですね。そう言う印象ありますよ。ええ。
荘口 俳優さんとか、まわりにたくさんいらっしゃるじゃないですか。女優さんとか。
甲斐 役者もね。
吉田 女優さんはねぇ、あれですからねぇ。
荘口 まあ、奥さんもね。
吉田 ええ。何か、映画の匂いを感じるって言うか、音楽と映画って、いろんなつながりありますけど、ミュージシャンがこう、映画の匂いを漂わせるって言うのは、ひとつ美学、あるんですよ。たとえばね、ストーンズとゴダールもそうですけど。
甲斐 そうですね。
吉田 何て言うかな。
甲斐 いや、あのね、ビジュアルと音楽って、絶対リンクしてないといけないもんだと、
僕思うんですよね。
吉田 そうですよね。
甲斐 つまり、そのビジュアルの裏には音がある。あるべきだし、音の裏側には、画(え)が、やっぱりビジュアルが貼り付いてないと。
吉田 そうですね。
甲斐 そうすると、すごく広がると思うんですよ。
吉田 そうですね。
甲斐 奥行きがね。
吉田 特に、甲斐さんの音楽は、ずっとそう言う感じを僕、受けてて、それは、いい、悪いではなくてねぇ、ただ、拓郎さんの音楽とかね、まあ陽水さんでもいいや。あのー、あんまりそう言う感じはしないんですけども、何かこう、映像と言うよりも、映画のストーリーって言うか、そう言うのがね。
甲斐 でも、それがロックでしょ。
吉田 ロックはね。そうですね。
甲斐 フォークってやっぱりそう言う感じ。なんか。いや、これ、どっちがね。
吉田 (笑)どっちがいい、悪いじゃなくてね。
荘口 また・・・。昔やった、その、喧嘩・・・。
甲斐 浅い、奥深いとか言う意味じゃなくて。
荘口 あー、よかったよかった。びっくりしたぁー。
甲斐 ロックの背景って、僕、絶対そう言う感じだと思うんですよ。
吉田 ええ。
甲斐 ストーリーテリングが出来てて、なんか非常に映画とリンクしてる感じの方がね。
吉田 そうですね。で、たぶん僕、甲斐さんってね、映画の仕事ね、いろいろやってらっしゃるのかなと思って、ふと思ったんですけどね、今、伺ったらそう言うあれなんで。結論、先に言っちゃうと、僕、映画作るのがね、夢なんですよ。ドリームマシーンって言う、レコードのレーベルでもあり、ま、Virginみたいなものですよ。何でもやりたいって、そう言うレーベルなんですけども、その時ね、是非音楽をね。
甲斐 いや〜。いいですよね。
吉田 全編、歌が流れてるみたいな、そう言う映画を作りたいなと思って。
甲斐 だからあの、日本って、版権を取るのが難しいの・・・。まあ、あんまり音楽に関しての、何て言うの、そのー、バジェットって言うのが少ないんですよ。映画の中の音楽に関してのバジェットが。
荘口 バジェット。予算って事ですね。
甲斐 そう。ないのよ。だから版権、全編に音楽がかかってるようなやつ、ないじゃないですか。
荘口 うーん。
甲斐 あれ、本当は、全編音楽がかかってる感じが、本当はあると一番いいんだよね。
吉田 そうですね。あのー音楽と言う、音楽かどうかわかんないですけども、あのー、”パリテキサス”の、ライクーダーの♪ビヨ〜ン、だけとか。あの”デッドマン”って、ニール・ヤングがやってたやつとか、ああ言う感じと、音楽的だなぁと思うんですけど。甲斐さんなんか、映画の音楽って言うと。
甲斐 いや、だから、自由にやらしてくれるんだったらやりますよ。ね。
吉田 なるほどね。
荘口 う〜ん。
吉田 あのー、映画ファンとして、音楽、これはやられたって言うのはありますか?
甲斐 そうね。あの、いや、僕ね、あのーって言うか、そりゃもう一番すごいのは、”イージーライダー”でしょ。
吉田 あー、なるほどね。
甲斐 ”イージーライダー”。僕、中学校1年ぐらいだったんですけど、あれは決定的だったよね。
吉田 あれはね。
甲斐 あれと、”真夜中のカウボーイ”の、その、まず、イントロダクションで、ハリー・ニルソンの。
甲斐・吉田 「噂の男」
甲斐 「エブリバディートーキング」
吉田 ええ。
甲斐 ああ言うの見せられるともうダメだよね。
吉田 あれはもうね。
甲斐 ”明日に向かって走れ”。♪Rain drops the falling on・・
吉田 あのギャップがね。
甲斐 ねー。
吉田 ”卒業”なんかも違う意味でね。
甲斐 全くそうですよ。だから要するに、その音楽がかかった時に、もう徹底的に、今のミュージックビデオみたいなふうに、あの時なってたよね。
吉田 ああ、そうですね。
甲斐 だからやっぱり、80年代のミュージックビデオって、全部、60年代後半と70年代初頭のあの辺の、アメリカニューシネマの、いわゆる、あの瞬間を切り取ってますよね。
吉田 うーん。なんかこう、ロック的な映画とか、まあ映画、そのいわゆるレーベル学的(?)な音楽とか、そう言うふうに非常に僕、関係近いなと思ってるんですけどね。
甲斐 そうですね。
吉田 まあ、日本の場合はまたちょっと美学が違うって言うか、まあ、黒澤さんの音楽もすばらしいし、ゴジラの音楽も僕好きですけど、ちょっとまあ、そう言う何かロックな感じっての、まだそんなには。
甲斐 そうねー。あのー。
吉田 ないような気、するんですけどね。
甲斐 斎藤耕一の”旅の重さ”。
吉田 あー、知ってます、知ってます。
甲斐 ねー。高橋洋子。主演の。
吉田 あれはいい映画ですよね。
甲斐 あれはー。イントロが、あの、吉田拓郎なんですよ。
吉田 あ、そうだそうだ。
甲斐 「今日までそして明日から」
吉田 そうだそうだ。思い出した。
甲斐 まだ、全然拓郎が売れない時に、いきなり、斎藤耕一が、あれを使ったんですよね。
吉田 そうだー。忘れてました。
甲斐 あの時はすごいんだよねー。あれは逆にすごいロックな感じがしたんですよ、僕。
吉田 なるほど。
甲斐 だから、ロックの人だと思ってたんですよ。あ、違ったんですね(笑)。
吉田 (笑)
荘口 また大変な喧嘩に、もう。とんでもない喧嘩になりますからね。怖〜いわ〜もう(笑)。
吉田 あのー、あれですけど。”二十歳の原点”、四人囃子の曲も、当時としては結構。
甲斐 よかったですねー。
吉田 劇的なあれですよね。
甲斐 うーん。そうですね。今、だからあとー、何だっけ。浅野忠信が出てるコマーシャルで、はっぴいえんどの、”風街ろまん”の中からの曲、♪時々、戦・・。ああ言う感じなんだよね。要するにさ、やっぱりね、ビジュアル、映画があって、後ろに音楽が出てくる時に、要するに、もう、カタルシスこそ最高なんだよね。
吉田 ええ。
甲斐 だからその、”イージーライダー”で、そのー、タンクの中にこう、金を丸めてさ、ねー、あのーこう、バーっと落として行って詰めて、キキキキッて栓閉めたら、ブル〜ンブル〜ン♪デーンツデデー。って始まるじゃないですか。あの、最高の瞬間がね、やっぱりビジュアルと音楽がリンクしてる醍醐味だよね。
吉田 あれ、すばらしいですよね。あのー、ビデオクリップなんか、今までもう何本も作られたと思うんですが、その、映画に対するオマージュって言うか。
甲斐 それ、もうほとんどそうです。
吉田 そうですか。
甲斐 うん。僕、フェンデリコ・フェリーニとか、そう言うオマージュばっかりですから。
吉田 あー。
甲斐 やっぱり、自分でビジュアルをやる時は、やっぱりできればそう言うふうにね、なりたいですよね。うん。
吉田 うん。映画に出るって言う、そう言う事は?
甲斐 (笑)
荘口 オファーはたくさんあったんじゃないですか?
吉田 あったよ。
甲斐 もう〜、ハリ〜。
吉田 え?
甲斐 知ってて言ってるでしょ。
吉田 いえ、知らないですよ。天然に。
甲斐 あー、そう。僕、実はね、去年の暮れから今年にかけて、2本来てるんですよ、主演が。
吉田・荘口 え?
吉田 これはショッキングな発言だなー。
甲斐 でもねー、あのー、まずもう、1本目は、5日間考えて断ったんですけど。
荘口・吉田 はぁー。
甲斐 いや、これは、本当の話ですからね。
荘口・吉田 ええ。
甲斐 どうも、黒木香さん・・・え?黒木・・・。
荘口・吉田 瞳さん?
甲斐 ああ。
荘口 昔あの。
甲斐 村西さん。
荘口 ええ。Hビデオで。
甲斐 何か、そっちでもいいんだけど。
荘口・吉田 (笑)
荘口 黒木瞳さん。
甲斐 そう言う人達と、で、僕主演で。
吉田 え〜?
甲斐 寿司職人なんですよ。
荘口 へぇ〜。
吉田 (笑)
甲斐 で、俺、考えたのよ。3日。寿司職人って事はさ、高下駄履かなきゃいけないだろ?
吉田 まあね。
荘口 (笑)
甲斐 寿司、握れなきゃいけないだろ?
荘口 はい。
甲斐 髪まで切るんだぜ。
荘口 そうですね。
甲斐 努力、嫌いだから、もう。
荘口 いやいやいや、ちょっと待ってください。
吉田 ハハハ(笑)
荘口 それ、役者さんでも、そこで逆にほら、何キロ太ってやせたとか。
甲斐 何キロやせるも、10キロでも全然平気。
荘口 あー。
甲斐 でも、髪、切るんだよ。高下駄履いて、寿司握るんだよ。
吉田 あー。
甲斐 これはちょっとつらいじゃん。その向こうに、すごく素晴らしい世界があるんだったらいいけど。
荘口 (笑)
吉田 ヒッヒッヒッ(爆)
甲斐 どーもそれは思えない。その台本は。
荘口 いやー。あ、何で甲斐さんに寿司職人をって言う。何なんでしょうね。そういえば。
甲斐 そうそうそう。
吉田 監督って、映画人でね、甲斐さんのファンって多いと思いますよ。単純に。
甲斐・荘口 あー。
荘口 だから。
甲斐 今来てるのは、もうすぐ監督にお会いするんですけど、来てたのは、浅田、浅田・・ぽっぽやの。
荘口 あー、浅田次郎さん。
甲斐 浅田次郎さんの原作の、何とかまで500マイルって、あの、ぽっぽやの中の短編。
荘口・吉田 あー。
甲斐 それに、何て言うか、うらぶれた、元会社社長の。
荘口・吉田 へぇ〜。
甲斐 これはちょっと向いてる感じはするんですけど。
吉田 おー、それはまた。今までの、長いキャリアの中では、特になかったんですか?出た事とか。
甲斐 いや、僕、80年代は頻繁に来てましたね。
吉田 でしょうね。
甲斐 80年代の頭ぐらいの時に。
吉田 ロックミュージシャンってねー。
甲斐 アウトローとかそう言う、ガンガンやってる時には来てますねー。
荘口 ふんふんふん。
吉田 出したいって存在はわかりますね。
甲斐 僕ねー、僕、すごい言ったんですけど、近眼でタッパないんだよねって言ったら、ゲラゲラ笑われてさ。
吉田 ハハハ(笑)。
荘口 そんなんで、別に。
甲斐 あの、だから昔、前略おふくろ様とかさ、熱中時代とか、太陽にほえろとかやった有名な日テレの清水・・。
吉田 シミキンさん。
甲斐 そう。シミキンさん。ね。シミキンからもずーっとつきまとわれていたんですよ。
吉田 あー、シミキンさん、好きなタイプですもんね。
甲斐 あー、そうですか。
吉田 松田優作さんとか。
甲斐 あ、ショーケン、優作の次に、僕ずっとつけ狙われてたんですよ。2年ぐらい。
荘口 うーん。
甲斐 ”ね、シミキンさん、僕タッパないよ”って言ったら、”お前さ、おかしい。考え方変だ”って言われたもん。
吉田 へぇ〜。その時、出ると言う気持ちにはならなかったんですか?
甲斐 全くなりませんでしたね。いや、本業が忙しかったんで。
吉田 まあ、そうか。よく、あのー、ロックミュージシャン、映画でって言う、よく、海外でもありますよね。
甲斐 僕ねー、絶対やりたいんだったらね、あの、サウンドトラック、主題歌、歌わせて貰って、サウンドトラックやって脇役だったら、僕やりますよ。
吉田 あー、いいですね。おもしろいですね。
荘口 あー。
甲斐 つまり、そのー、”ビリー・ホリデイ”の時のディランみたいな感じ。
吉田 あー。
甲斐 あのね、あの情けない感じ。脇で。いいですよね。
吉田 存在感発揮しますよね。音楽的にもね。
甲斐 そうそうそう。ああ言う感じだったらいいんですよ。
吉田 ふ〜ん。
甲斐 なんて、難しい事、言ってるとね。
吉田 ヘヘヘ(笑)。
甲斐 また、来なくなる。
荘口 ハハハ(笑)。
甲斐 別に、何でもやりますけどね。嘘言えって。
荘口 意外に、来年、お正月ぐらいに、いきなり寿司職人やってたりして。
甲斐・荘口吉田 (爆)
吉田 髪もバリバリで(笑)。
荘口 やってるよ〜(笑)。髪も切ってるじゃん(笑)。絶対やらなそうですけどね。なんか、まだまだお話、CMの後に、いろいろ伺おうと思いますが、いったんCMでーす。

荘口 えー、スタジオには、引き続き、甲斐よしひろさんをお迎えしているんですけど、今、あの、公開中の映画で、何かハリーさん、おすすめの映画は。
吉田 ええ。あのー、サントラがね、ワーナーミュージックから出てるんですが、”ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ”って言う、非常に地味なね、音楽映画です。甲斐さん、ご覧になりました?
甲斐 ええ。2回観ました。
吉田 これね。
甲斐 すごいよねー。
吉田 すばらしい映画ですよね。で、音楽が非常に売れてるんですけども、ちょっとめずらしいですよね。サントラが、短間上映の映画の規模で。
そうですよね。
荘口 これだけで、」どれぐらい。
吉田 もうね、25万(枚)
甲斐 たから、たぶん、映画観た人の、2倍、3倍ぐらい。
吉田 そうですね。
甲斐 ねー、レコード買ってる。
荘口 これね、何人ものやつから、面白いから観ろ、面白いから観ろって。
甲斐 あのね、本物が見れる。やっぱり、ミュージシャンでも何でもいいんですけどね、職人の本物ってなかなか見れないんで。
吉田 あのー、甲斐さんですね、僕、いろんな方に、酒飲み話で映画の話するの好きなんですけど、難しいと思うんですが、最も好きな映画、ベスト3。あえて聞きたいんですよ。
甲斐 そうね。まず、フェンデリコ・フェリーニの”道”。
吉田 あー、”道”。
甲斐 あれはもう、20回ぐらい。
吉田 あ、そうですか。
甲斐 僕ね、あの、クエンティン・タランティーノが、すごい最高の事言ってたんだけど、僕、昔からよく、母親かなぁ、”何でお前はおんなじもの、何回も聞いたり見たりするんだ”ってよく言われてたんですよ。だから、タランティーノがね、3年ぐらいの前のインタビューで言ってたんだけど、”子供は一番すごい。何でかって言うと、新しいもの見たって、それが面白いかどうかわかんない。ね。そんなチャレンジするより、これ見たら面白いのわかってるし、決まってるもの、何回も見るに決まってるじゃん”。って言うのを言ってるんですが、映画って、そう言うものだ、音楽もそうだけどねって、そのカタルシスを獲得する時に、チャレンジなんであえてするんだって。だから子供は、これ面白いとわかっても、何回も見る。そう言う意味ではすごくね、子供の味覚なんですけど。
荘口 (笑)。
吉田 ふ〜ん。
甲斐 これは。
吉田 あー。
甲斐 俺はね、ひとつのものを徹底的になんか掘り下げて、検証して行くタイプはタイプなんですよ。フェンデリコ・フェリーニの”道”はやっぱり、2、30回観てますね。
吉田 あー。
甲斐 後ね、これはねー、今だからちょっと胸はって言えるんですけど、あのー、”天国の日々”って言う、ね、あの、テレンス・マリック。”シン・レッド・ライン”で、ついに、この間、15年か20年ぶりに撮った。まあ、その彼は、”約束の地”って言うのを撮って、それから”天国の日々”撮って。それは、カンヌとえーっとアカデミー、どっちも同時に取ったって言う、なかなかないんですけど。その”天国の日々”と。日本は全く当たらなかった。で、リチャード・ギアがあの、初主演かな?僕、リチャード・ギア観に行ったんじゃなくて、その脇に出てる人観に行ったんですけど。とにかく、すごい映画で、何ですごいかって言うとね、あんまり言いたくないんですけど、薄暮の時間に撮ってるんですよ。薄暮って言うのは、要するにそのー、夕方のね、ある時間帯なんですよ。30分か40分しかない。で、これは要するに、夜と、えー、昼間のちょっと中間なんで、影がない。ね。影がない時間帯があるんです。
吉田 なるほど。
甲斐 その時間帯にだけで回してるんですよ。で、”天国の日々”で映画会社、つぶれるんですけど(笑)。
荘口・吉田 (笑)
甲斐 バジェットがもうすごくて。だけど、結果的に、まあ上映してみたら、ものすごいヒットしたと言う映画があるんですけど。で、僕、その映画大好きで、ずーっと好きだ好きだ好きだ好きだってずーっと言ってたんですよ。宮澤にも、ほら、ほらこれ観ろとか言って、言う感じで配ったりしてね。
吉田 (笑)
甲斐 でもほら、テレンス・マリックは、それ以降消えちゃったんで、その間、大学教授か何かやってたんですけども。
吉田 へぇ〜。
甲斐 ええ。ついに、”シン・レッド・ライン”かなんかでねー、取ったんで、ほらー、すごかったじゃんって、まあ言われるんですけど。その間の15年は、淋しい人生だったんですけどね。
吉田 (笑)
甲斐 知らないとか言って。
荘口 新作も何もないし。
甲斐 何もないし。もう1本はねー、もう1本は、ま、黒澤ですかね。
吉田 あー。
甲斐 黒澤は、僕、”隠し砦の三悪人”かなー。
吉田 黒澤は、僕、最近観るようになったですけどねー。
甲斐 どうですか?
吉田 面白いですね。この前、あの、”雨あがる”って言う遺作の、監督が違う方が意志を継いで作った。あれもすばらしかったですねー。
甲斐 あのー、吉岡、吉岡秀隆が出てる。あのー、招待券が2枚、届いたんですよ。
吉田 あ、そうですか。
甲斐 ええ。送って頂いて。
吉田 あれ、おもしろかったですね。あのー、たとえば、キューブリックとか入んないですか?
甲斐 もちろん。
吉田 3つって言うとねー、あれですけど。
甲斐 僕、”暗黒街の顔役”あたりから観てるんだよね。
吉田 はー。
甲斐 うん。好きですね。撮り方がねー。”スパルタカス”の時の、あの、地下のこう何だっけ、あの、なんか、地下じゃないけど、防空壕じゃないけど、何か掘ってる。掘りの中をずーっと移動するカメラがあるのよ。それはすごいよ、今観ても。何度観てもすごい。あのカメラは。
吉田 (笑)
荘口 何度観てるんですか。何なんだって言いながら。
甲斐 俺、”シャイニング”のイントロって、イントロ。イントロだけ観に、僕3回行きましたからね。
吉田 あれは素晴らしい。
甲斐 あれは、何ですごいかって言うと、要するに、空撮なのかな。空撮としか思えないんだけど、カメラが動かないのよ。その前まで、空撮って言うのは、ヘリコプターで撮る訳だから、カメラが動いてた訳よ。それが全然動かない訳よ。”シャイニング”のイントロって、あのー、ずーっと崖っぷちの高速を、ずーっと車が静かに滑って行くんですけど、それが初めて何回も観に行って。”何で?”って。それがその、スタディカムだって、その後わかる。まあ、分かり易く言うと、あのー、出前の何だっけ、あの。
荘口 おかもち。
甲斐 おかもちを乗せた、上下にバネがついてて。
吉田 (笑)
荘口 確かにそう言う感じですよね。
吉田 たとえがチープですからね(笑)。
甲斐 おかもちの、あの間の出前の間にカメラがある。
吉田 (爆)
荘口 まあ、そう言う感じですかね。
吉田 映画の何か高級感がそがれるような事だけど。
甲斐 そう。あれがスタディカム。
荘口 あれ、不思議な映像ですもんね。
甲斐 あれはすごい。でね、何回も観たんだけど、3回目にやっとわかったの。一瞬だけ、ヘリコプターの影が見えるのよ。
荘口 あー。
甲斐 ”あ、やっぱりヘリコプターなんだ。でもおかしいじゃん。何で揺れてないの?”みたいな。それは、キューブリック、すごいですよね。カメラはね。
吉田 役者で言うと、誰が好きですか?
甲斐 僕、役者はねー。
吉田 たとえば、マストロヤンニとかああ言う感じ。
甲斐 いや、そうじゃなくて。
吉田 ではないですか。
甲斐 僕ね、実はね、さっき、その”天国の日々”、サム・シェパードが。
吉田 ほぉー、サム・シェパード。
甲斐 すごい好きなんですよ。だからあの、”ライトスタッフ”の時もね、超高速運転手。まあ、あの、パイロット。サム・シェパードが好きかな。僕ね、出来るだけ押さえてて削ってる奴が一番好きですね。
吉田 なるほどね。
甲斐 出さない奴が。
吉田 女優さんはどうですか?
甲斐 女優はいっぱいいますね。僕はあのー、一番とにかく好きだったのは、あのー。シドニー・ボワイチエと結婚した・・・、あのー、”冒険者たち”って映画、知ってます?
吉田 ええ、知ってます、知ってます。
甲斐 あの主演の。
吉田 名前、僕忘れちゃったな。
甲斐 忘れちゃった。ダメだな。酔っぱらってるから、すいません。
吉田 (笑)日本の女優さんでは?僕あのーまあ、時代的な、ATG(?)とかの時代もあって、あれなんですけど。原田美枝子さんとか秋吉久美子さんとか、あの時代の女優さんの存在感、結構すごく影響受けてるんですよ。
甲斐 ねー、秋吉久美子。”赤ちょうちん”。いいですよねー。”赤ちょうちん”よかったですよねー。
吉田 素晴らしかったですね。
甲斐 にわとりアレルギー。
吉田 ええ。すばらしい演技ですよ。
甲斐 素晴らしいですね、あの時の”赤ちょうちん”は。そうですねー。
吉田 まあ、あんまり女優さんの事言うと。
甲斐 僕でも、やっぱり、ジェーン・バーキンと、さっき言った”冒険者たち”のあ、えーっと違った、誰だっけ、忘れちゃった。その二人なんですよ。
吉田 (笑)
荘口 すごい気になりません?誰か。
甲斐 そう。ジェーン・バーキンとその人なんですよ、僕。
吉田 はあー。
甲斐 ”ガラスの墓標”って言う、すごいいい映画があって。ジェーン・バーキン。あの、ゲンズーブルが撮った、2本目か3本目なんですけど、その映画だけ、まだ出てないんですけど、僕持ってますよ。
吉田 ビデオ。
甲斐 ビデオ、持ってます。
荘口 あのー、そろそろ、あのー、音楽の話もしろって、ディレクターからの指示出てますが。映画の話で終わっちゃうともったいないって言うのもあって。
吉田 非常に映像的なですねー、あのー、作品を作り続けてる、今日この頃なんですけどねー。あのー、「白いブランケット」って言うねー。
甲斐 (笑)
吉田 すばらしい。
荘口 でも、甲斐さんの歌って、必ずなんかほら、あの、バックグランドの映像が見えますよね。本当ね。
吉田 映像が見えるんですよね。
荘口 だって、前のほら、「トレーラーハウス」の時も、あのー、俺はその、ディレクターの節丸とか経由で聞いたんですけど、その上に降り積もってるのは、雪なのか、それとも何なのかって言う話がずっとあって、何か。
甲斐 そうね。あのー、要するに、トレーラーハウスって言うのは、ちっちゃな窓しか、1個しかないんで、それがその、うん、白いものが降るんだけど、それは雪なのか、雨なの・・みぞれなのかわかんない、淋しい男の話を書いてるんですよね。
荘口 何か聴いても、それー、もしかしたら、その、ねえ、なんか戦争があった後に、放射能の灰とか降ってんじゃないかって言う話を、甲斐さんしたって言う。
甲斐 (笑)なんだよ。
吉田 そう言う創造性。
荘口 それもすごいなーと思ったんですけどね。
甲斐 ねー、それもありますよね。
吉田 曲って本当、センテンス短いですけど、歌詞の量は。
甲斐 そうですね。
吉田 ひとつね、映画作れるくらいの、いろんなこうイメージ。
甲斐 凝縮した1行ね。
吉田 まあ今回の曲もそんな感じで、非常にあの、これね、温度感じるって言うか、気温って言うかね、そんな感じ、僕するんですけどね。風景と共に。
荘口 何かでも、このジャケットは、すごい、ロードムービーじゃないですけど。
吉田 いや、もう、今回は一連のね、流れで。
甲斐 これはね、ハリーのあのアイデアなんですよ。「トレーラーハウスで」から、そうなんですけど。
吉田 風景で。
荘口 これ、どこなんですか?
吉田 これはね、架空のある街ですね。
荘口 ふーん。
吉田 ヘヘヘ(笑)。いや、ある写真をこう合成して作ったあれですけど。
荘口 不思議な何か、ありそうでなさそうな風景。ね。一連のって事は、じゃあ、次の曲も何か控えてるんですか?
吉田 ええ。今、もうね、ドンドンいい曲書いて頂いてるんですよ。
甲斐 もう、実はあるんですよね。
荘口 あ、そうなんですか?
吉田 すごい曲ですよ、これは。
甲斐 あるんですよ。もう、ちゃんと録りました。
荘口 そうなんですか。
甲斐・吉田 ええ。
吉田 早く、世に出したいって言う。
荘口 なんか、噂によると、発売日の調整を、飲みながらやってたと言う。
吉田 いや〜(笑)。
荘口 (笑)そう言う噂もこうチラっと聞いてるんですけど。
吉田 もう、本当、楽しませて貰ってます。この仕事はね。
荘口 あー、そうですか。
吉田 いろんな事、今年は、甲斐バンド、甲斐よしひろさん、やってくと思うんで。
荘口 ツアーとかも、もしかしてやるんですか?
甲斐 ええ。6、7月にやります。その時はまた、プロモーションで来ますから。
吉田 (笑)
荘口 (笑)それはもう、宣伝、宣伝で。
甲斐 はい。
荘口 プロモーションで。(笑)
甲斐 今日はほら、映画の話を。
荘口 あー、そうですよね。わかりました。
吉田 映画の話とね。
甲斐 曲もほどほどにかけて貰って。
荘口 ええ、かけますよ。ええ。じゃあ、2月12日リリースされます、その、「白いブランケット」その、曲、紹介してもらっていいでしょうか。
甲斐 はい。えー、甲斐バンド、白ん(笑)「白いブランケット」(笑)
荘口 ゲストは、甲斐よしひろさんでした。
甲斐 どうもありがとうございました。
吉田 夜分にすいません。


♪「白いブランケット」甲斐バンド 


荘口 えー、今日は、90分でわかる、映画と音楽の関係。飲み屋から来た甲斐よしひろさんは、終わってまた、飲み屋に戻って行ってしまいました。
吉田 ハハハ(笑)。
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(話は続くが、甲斐さんがらみの話は終わり)


  

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