日経サイエンス  2014年9月号

ニワトリはケッコー賢い

C. L. スミス(豪マッコーリー大学) S. L. ゼリンスキー(サイエンスライター)

 道具を作るカラスや数を数えるインコなど驚くほど“賢い鳥”がいる一方で,ニワトリは物覚えの悪さの代名詞となっている。だが,本当に? 近年の研究で,この鳥がこれまで考えられてきたよりもずっと賢いことがわかった。ニワトリは他者を欺いてズルをする知恵が働き,霊長類に匹敵するコミュニケーション技能を持ち,自分の意図を仲間に伝えている。また意思決定に際して,自分の過去の経験や,現在の状況に関する知識を考慮に入れている。危険にさらされている他のニワトリに感情移入することもできる。これらの知見は,これまで霊長類のみが持つとされてきた複雑な認知能力のいくつかが動物界にもっと広く存在する可能性をうかがわせる。

 

 

再録:別冊日経サイエンス227「鳥のサイエンス 知られざる生態の謎を解く」
再録:別冊日経サイエンス206「生きもの 驚異の世界」

著者

Carolynn “K-lynn” L. Smith / Sarah L. Zielinski

スミスはオーストラリアのシドニーにあるマッコーリー大学のリサーチフェロー。巨大イカからゾウまで様々な動物のコミュニケーションと認知力を研究している。2010年にオーストラリア博物館エウレカ賞を共同受賞。

ゼリンスキーは米ワシントンを拠点とするフリーランスのサイエンスライター。Science誌,Science News誌,Smithsonian誌などに執筆している。

原題名

Brainy Bird(SCIENTIFIC AMERICAN February 2014)

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