高校野球山梨大会

「投手の分業制」各校に浸透 印象に残った「つなぐ野球」

 第100回全国高校野球選手権の山梨大会は、山梨学院が3年連続8度目の優勝を果たし、36校35チームの頂点に立った。同校の主戦・垣越と星野、駿台甲府の庄司、甲府工の渡辺ら、球速140キロを超す左腕の活躍が光った。打撃は本塁打が昨年より6本少ない20本となったが、決勝で11安打12点と機動力を発揮した山梨学院に象徴される「つなぐ野球」が印象に残った。大会を振り返る。 (昌林龍一)

 ◆垣越、最速146キロ

 山梨学院・垣越は身長183センチ。角度ある投球が武器だ。冬場のトレーニングで下半身の安定感が増し、腕が後からしなるように出てくる。打者はボールの出所を見にくくなった。

 球速も準決勝・甲府工戦で大会最速の146キロを記録し、早くもプロから注目を集めている。

 駿台甲府の庄司は縦のスライダーに落差があり、春の大会で奪三振が投球イニング数を上回った。「ドクターK」と注目されたが、今大会は初戦の甲府工戦で延長11回を完投。4安打に抑えたが、1点差で敗れた。

 甲府工の主戦・渡辺は球にキレがあり同校の躍進に貢献した。右腕で注目されたのは帝京三の主戦で球威がある阪。連投による肘の故障で、途中登板の決勝で山梨学院打線にとらえられた。今大会は継投による分業制が各校に浸透した。

 ◆センス光る東小橋川(ありこはしがわ)

 「打撃のチーム」と期待された帝京三。決勝で3安打の主軸の東小橋川は、直球にも変化球にも対応できる打撃センスの高さが光った。

 好機に強く、「スーパー1年生」と注目された山梨学院の捕手・栗田。準決勝・甲府工戦では同点の中越本塁打を放ち長打力を発揮した。

 今大会で3本の本塁打を放った東海大甲府の大畑の長打力も際立った。「バットが球をとらえる瞬間に力が入る。プロ野球のかつての大打者・落合博満氏のような打撃」(大会関係者)と評価も高く、右の大砲として印象に残った。

 県高野連によると、今年から熱中症対策で、3試合を行う日の各試合の開始を30分繰り上げた。選手が試合中に熱中症とみられる症状で倒れるケースはなかったという。

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