それがふと、知人からの勧めもあって、大阪市などが助成するシネアスト・オーガニゼーション大阪に応募する。これは人材発掘を目的に、映画の企画を広く募集し、審査を通ると助成金や制作協力が受けられるという制度だ。10分以上の短編を参考作品で出すという条件もあり、草野監督は急いで撮った。
「フッと勘が働いて、それが締め切りの1カ月前でした。企画はぼんやりとノートに書きためていたりしたものがあったので、それをブラッシュアップして送ったんですが、1年越しとかいう人には怒られるかもしれませんね」
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この企画が通って完成した作品が「螺旋銀河」だ。撮影は一昨年の12月に10日間で行ったが、そこまでが大変だった。一時は混乱してわけのわからないプロットになったりしたが、友人の高橋知由さんに脚本に加わってもらい、ラジオドラマを素材にするアイデアを提案される。ストーリーが固まったのは、やっと10月になってからだった。
「その後は一般的に言えば時間がなかったのかもしれませんが、とにかく長編は初めてだし、比較対照するものがない。ただもう猪突猛進(ちょとつもうしん)にやり切ったといったという感じです」
作品は昨年3月、大阪アジアン映画祭で披露された後、5月にドイツ・フランクフルトで開かれたニッポン・コネクションで審査員賞を受賞。さらに7月のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭(埼玉県川口市)に出品され、監督賞とSKIPシティアワードに輝くなど、国内外で高い評価を受けている。