天然芝が張られ、完成が近づく府立京都スタジアム(10月20日、京都府亀岡市追分町)

天然芝が張られ、完成が近づく府立京都スタジアム(10月20日、京都府亀岡市追分町)

 来年1月に開業する京都府亀岡市の「府立京都スタジアム」で、天然芝がこのほど張り終わった。芝の品種は日陰に強く回復が早い新品種を採用。国内のスタジアムで全面使用されている例はほとんどないという。スタンドの屋根に採光ガラスを設置したほか、京都サンガFCが練習する東城陽グラウンド(京都府城陽市)のグラウンドキーパーらが同スタジアムの芝生管理も担い、良好な育成を目指す。

 サンガのホームスタジアムになる予定で、サンガとスポーツ施設経営「ビバ」(京都市上京区)でつくる特定目的会社が運営を担う。現在のサンガの本拠地である「たけびしスタジアム京都」(西京極陸上競技場、右京区)の芝は、1985年の改修以降張り替えられず、傷みが激しかった。パスが通りにくいなど試合に支障が出ることもあり、サンガの練習場を管理する児島浩人さん(37)らが、京都スタジアムのピッチも一元管理して環境を整えることになった。

 同スタジアムは全国で初めて全客席を屋根で覆う構造が特長。一方で、大型屋根付きスタジアムは日陰が多く風通しも悪いため、各地で生育不良が問題化している。16年に開設したパナソニックスタジアム吹田(大阪府吹田市)は2年に一度芝を張り替えている。

 そのため、府スポーツ施設整備課は他施設を参考に、頻繁に張り替える必要がないように検討を重ねた。亀岡市で3品種の生育について比較試験を行った結果、日陰に強く回復が早いとされる「セレブレーション」という品種を採用した。

 スタジアムの構造も芝の養生に配慮した。南側スタンドの屋根は日光が透過するようにガラス材を使用。また、当初はスタンド最前列を芝生のピッチと同じ高さにする方針だったが、通風路を確保するため、座席を1・2メートル高くした。

 亀岡市は寒暖差が激しく、冬場に川霧が発生する独特の気候。芝を張る適期は6月頃だが、工事の関係で秋にずれ込んだ影響も懸念される。競技の内容や使用頻度でも傷み具合は左右される。丈夫な芝が根づくには未知数な部分も多いが、新品種の推薦にも関わった児島さんは「成功すれば、この品種が日本のスタンダードになるかもしれない。全国から注目されている」と話す。