子宮頸がんワクチン接種3割 今年度から積極的勧奨再開も伸びず

子宮頸がんワクチンの接種を受ける女性=横浜市
子宮頸がんワクチンの接種を受ける女性=横浜市

子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐワクチン接種について、国が今年度から約9年ぶりに接種を促す「積極的勧奨」を再開したものの、実施率が約3割と伸び悩んでいることが17日、厚生労働省などへの取材で分かった。WHO(世界保健機関)は接種を推奨し、欧州では英国など多くの国で約8割の女性が接種している。

HPVワクチンは、平成22年度から公費助成が始まり、25年4月から予防接種法に基づき全額が公費で賄われる定期接種に。対象は小学6年~高校1年の女性とされた。

しかし、その直後から体の痛みや慢性疲労といった副反応の報告が相次ぎ、国はわずか2カ月で積極的勧奨を中止。それまでは対象者の自宅に予診票が届けられたが、書類を役所に受け取りに行く必要が生じた。

引き続き定期接種の対象ではあったが、接種率は一時、1%未満にまで低下した。その後、国は専門家による審議会で安全性を検証し、令和3年11月、積極的勧奨の再開を決定。昨年4月から予診票の送付が再開された。

ワクチンは間隔をあけて3回接種する必要がある。厚労省によると、昨年4~9月に1回目の定期接種を終えた人は約16万人で実施率は30・1%だった。

これとは別に、積極的勧奨の中断期間に接種対象だった平成9~17年度生まれの女性をカバーする「キャッチアップ接種」の1回目の接種者は約20万人。厚労省は全国の対象者数を明らかにしていないが、東京、神奈川、大阪の3都府県だけでも計150万人前後と推計されており、こちらも伸び悩んでいる。厚労省の担当者は「リーフレットを自治体から配布するなどし、周知を進める」としている。

子宮頸がんワクチン 小学6年から高校1年までの女性を対象に「サーバリックス」「ガーダシル」のいずれかを公費接種できる。今年4月からは新たに「シルガード9」も加わる予定。WHO(世界保健機関)が接種を推奨しており、厚生労働省によると、100カ国以上で公的接種が行われている。子宮頸がんは、国内で毎年約1万人が発症、約3千人が死亡する。子育て世代の30代女性の発症が多く「マザーキラー」とも呼ばれる。

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