英国、TPP加盟交渉開始へ 「30年に貿易65%増」

ロンドン=和気真也
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 環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を申請している英政府は21日、加盟11カ国との交渉を22日から始めると発表した。加盟によって金融やITサービス、自動車、ウイスキー、農産品などの輸出拡大をめざす。アジア太平洋地域の加盟国への2030年の輸出を現在の金額の65%にあたる370億ポンド(約5・7兆円)増やせると見込む。

 英国の貿易全体に占めるTPP加盟国向けの割合(19年ベース)は1割に満たない。だが昨年に最大の貿易相手である欧州連合(EU)を離脱し、EU向けは手続きの変更などで大きく落ち込んだ。「離脱の成果」を国民にアピールしたい英ジョンソン政権にとってEU以外との貿易拡大は急務。ジョンソン首相は声明で、「この国の起業精神と自由貿易の歴史のうえに、英国全体にまたがる経済的利益をもたらせる心躍る機会だ」と述べた。

 英国はすでに日本やカナダ豪州などと個別に貿易協定を結び、TPP加盟への地ならしをしてきた。一方、今月合意した豪州との協定は、安い農産品輸入を心配する農家らの反対もあり、政権への不信感を残す形となった。(ロンドン=和気真也)

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