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【政治】

児童ポルノ規制強化法案 漫画は実態調査せず

 子どものわいせつな写真などの流通に関する規制を強化する目的で、自民党と公明党、日本維新の会が衆院に共同提出した児童ポルノ禁止法改正案について、自民党が「漫画やアニメなどを調査研究する」とした「検討規定」を削除する方向で検討を進めている。漫画の描写などが性犯罪につながっているとの指摘があり、実態を調べるための規定としてきたが、憲法が定める表現の自由に反する恐れがあり、学識経験者などの間に反対論があった。

 現在の法律は、児童ポルノに分類される写真や画像を販売・配布する目的で所持すると罰せられる。

 自民など三党が昨年五月に提出した改正案は、目的を問わずに個人的に持っているだけの「単純所持」も新たに罰するのが柱。加えて、児童ポルノに類する描写があるとされ、社会問題になっている漫画やアニメなどについては、性犯罪との関連を調べ、改正法施行後三年をめどに必要な措置をとるとした検討規定も盛り込んだ。

 三党はこの規定について「表現の自由には配慮する」とする一方で「子どもの人権や人格を守る視点も重要だ」と主張。しかし、「作家を萎縮させる」「クールジャパンの象徴の文化を壊す」などとの指摘が相次ぎ、自民党は見直すことにした。

 改正案に対しては、藤子不二雄(A)さんなど著名な漫画家が「漫画の多様な表現方法を封じ、世界に冠たる日本の漫画文化を衰退させる」と反対声明を発表。国民にも「児童ポルノの取り締まり強化に便乗して、将来的に作品の表現を過剰に規制する恐れがある」との声がある。昨年六月、参院選を前に行われたインターネット動画サイトの党首討論会でもテーマになった。

 

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