近畿地方におけるナベブタムシ属2種(半翅目:ナベブタムシ科)の生活環ならびにそれらの発育と生息環境

  • 石田 直人
    京都府立大学大学院農学研究科応用昆虫学研究室:(現)京都市西部農業指導所
  • 吉安 裕
    京都府立大学大学院農学研究科応用昆虫学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Life Cycles of Two Aphelocheirus Species (Hemiptera: Aphelocheiridae) in Kinki District, with Notes on Their Developments and Habitats
  • キンキ チホウ ニ オケル ナベブタムシゾク 2シュ ハンシモク ナベブタムシカ ノ セイカツカン ナラビニ ソレラ ノ ハツイク ト セイソク カンキョウ

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抄録

ナベブタムシAphelocheirus vittatusとトゲナベブタムシA.nawaeの生活環を前者は京都市の鴨川(賀茂川)で,後者は兵庫県三田市の武庫川での野外調査と京都市下鴨での飼育実験に基づいて考察した.ナベブタムシは調査河川の中流域では1年で1世代であるが,上流域では2年で1世代と考えられる.トゲナベブタムシも武庫川(中流域)では1年で1世代と推定される.両種とも成虫の寿命は少なくとも1年はあり,雌成虫は春期〜初秋に産卵すると思われる.ナベブタムシを長日(15時間照明9時間暗期)の3温度区で飼育し,卵から羽化までの発育所要日数から算出した有効積算温量は1,789日度(発育零点:10.2℃)で,トゲナベブタムシの長日4温度区での飼育結果から算出したそれは2,000日度(発育零点:8.2℃)であった.この2種の生活環は類似していた.また,本研究における2種の調査地の環境は,基本的に底質が中礫を含む砂質および細礫の河川で,pH値が7-10の溶存酸素が多く,流れが比較的速い場所であり,この2種の生息環境に顕著な違いはみいだせなかった.それらの地点には水生植物が生育し,ナベブタムシ類の餌となる他の底生無脊椎動物も豊富であった.

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参考文献 (19)*注記

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