現在ブームを巻き起こしているイタリアの伝統菓子「マリトッツォ」。ブリオッシュ生地に生クリームをたっぷり挟んだスイーツで、コンビニやスーパーでも見かけることが増えてきた。しかしなかには「中身をやたらたっぷり挟んだパン」をマリトッツォと名付けて売るところもあり、SNSではたびたび話題になっている。

マリトッツォとは一体何なのだろうか……。そんな疑問を抱くことも多いこの夏、セブン-イレブンは8月24日より東京・神奈川で「どらやきマリトッツォ」を販売開始した。いや、それはクリームどらやきでは?

今回は、同じくセブン-イレブンで扱う「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」、そして「ふわっとどら つぶあん&ホイップ」と比較しつつ、新商品「どらやきマリトッツォ」をレポートしていこう。

  • 「どらやきマリトッツォ」と「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」と「ふわっとどら つぶあん&ホイップ」を比較してみた

ある意味「夢のクリームどらやき」

セブン-イレブン「どらやきマリトッツォ」は、クリームがたっぷり入っているため、崩れないようトレイ付きの包装で販売されている。価格は224円。ぱっと見はどう見ても「クリームどらやき」だ。

  • セブンイ-レブン「どらやきマリトッツォ」(224円)

マリトッツォの定義は「ブリオッシュ生地に生クリームを挟んだもの」。しかし「どらやきマリトッツォ」は生クリームこそ入っていても、生地は茶色い「どらやき」だ。原材料はブリオッシュ生地と同じ小麦粉ではあるが、「マリトッツォ」と名乗って良いのだろうか……。

そんな消費者の思いを先回りするように、パッケージには「マリトッツォに見立てたどらやきです。」と記載されている。ちなみにマリトッツォは本来ならば「洋菓子」だが、セブン-イレブンのWebサイトでは「和菓子」のカテゴリーに入っている。

どらやき生地の間には、これでもかというほど生クリームがたっぷり入っており、つぶあんは下にチラリと見える程度。クリームを思い切り頬張るのが好きな身としては夢のようなクリームどらやきだし、このガッツリ盛られたクリームの量は「マリトッツォ」レベルと言えそうだ。

断面を見ると、クリームとつぶあんの比率は8:2くらいだろうか。手前側にクリーム、奥側へ行くにつれてつぶあんの量が少し多くなっている。

しっとりしたどらやきの皮と、ミルキーな味わいのクリームは相性バッチリ。くちどけの良いふわふわとしたクリームのなかに、時々あんこの粒の食感があるのも楽しい。小豆の風味をしっかり感じさせつつ、甘さ控えめのあんこが丁度よいアクセントになっている。

世の中には様々な「変わり種マリトッツォ」が出ているが、これはかなり完成度が高い「和洋折衷のマリトッツォ」ではないだろうか。

「どらやきマリトッツォ」と本家「マリトッツォ」、どう違う?

では、本物の「マリトッツォ」とはどう違うのだろうか。同じくセブン-イレブンの「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」(248円)と比較してみよう。こちらの生地はきちんとブリオッシュだ。

  • 左は「どらやきマリトッツォ」、右は「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」。「どらやきマリトッツォ」はフォントも和風

クリームの量を比較すると、圧倒的に「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」の方が盛りが良い。ブリオッシュ生地からはみ出るほどの量で、お手本のようなマリトッツォのルックス。

「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」は、ブリオッシュ生地もたっぷりとしたクリームも、どちらも軽く柔らかい食感。どこを食べてもふわふわと優しいスイーツだ。クリームのなかには甘酸っぱいストロベリーとラズベリーのソースが入っている。

「どらやきマリトッツォ」のしっとりとした食感も、本家「マリトッツォ」のどこまでもふわふわした食感も甲乙つけがたい。

なお、気になるカロリーは「どらやきマリトッツォ」が246kcal、「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」は311kcalと、クリームの見た目通り「ストロベリー&ラズベリーソース仕立てのマリトッツォ」のほうがやや高い。

「どらやきマリトッツォ」と「ふわっとどら」も比べてみた

「どう見てもクリームどらやき」と言っているが、セブン-イレブンには定番のクリームどらやき「ふわっとどら つぶあん&ホイップ」(224円)もある。こちらも比較してみよう。

  • 左は「どらやきマリトッツォ」、右は「ふわっとどら つぶあん&ホイップ」。商品名は違うが、英語表記はどちらも「Pancake,Red Bean Paste,Whipped Cream」

2つ並べてみると、クリームの量こそ違えど親戚のような姿。

クリームが盛ってある分、高さは「どらやきマリトッツォ」に軍配が上がるが、皮のサイズは「ふわっとどら」のほうが一回り大きい。こうして見ると「どらやきマリトッツォ」はだいぶ小ぶりだ。

この2商品、サイズとクリームの量が違うだけだろうとたかを括っていたのだが、似たものと思って食べると全く異なる和菓子だ。どちらも同じ原材料を使っているようだが、「ふわっとどら」は、ズッシリ・しっとり・ふわふわと三拍子揃ったボリュームのある皮だ。持ち上げようとすると皮が破けそうなほどの柔らかさ。一方、「どらやきマリトッツォ」の皮は柔らかすぎず、ある程度しっかりしている。

断面を見ると、「ふわっとどら」はクリームとつぶあんの量がほぼ半々。ふんわり香ばしい食感の皮とつぶあんを、クリームが上手くまとめている。そしてサイズが大きい分、食べた後の満足感も高い。

「ふわっとどら つぶあん&ホイップ」のカロリーは318kcal。クリームが多い分「どらやきマリトッツォ」のほうがカロリーは高いと思っていたので、約70kcalも差があるのは意外な結果だった。

こちらもやはり甲乙つけがたく、これまで「クリームどらやきが食べたい」と思ったら「ふわっとどら」一択だったが、今後はどっちを買おうか迷ってしまいそうだ。

  • 「どらやきマリトッツォ」のクリーム部分はフィルムでカバーされているので、持ち運んでも崩れにくい

異色と思いきや、リピートしたくなるほど完成度の高いセブン-イレブンの「どらやきマリトッツォ」。今後、第二・第三の「マリトッツォに見立てたスイーツ」の登場に期待したい。