災害安否不明者の情報、家族同意なしで原則公表 国指針
政府は24日、災害時の安否不明者の氏名公表に関して、自治体向けの統一基準を盛り込んだ初の指針を公表した。速やかな救助活動のため、家族の同意がなくても原則公表すると明記した。これまでは自治体に判断が委ねられ、個人情報保護の観点から公表しないケースもあった。
指針では生存率が急激に低下する災害発生72時間までの円滑な救助活動が極めて重要だと指摘。迅速な公表を促した。
公表するのは氏名、市町村か大字までの住所、年齢または年代、性別。原則として市町村が安否情報を収集、精査し、都道府県から公表する。
ドメスティックバイオレンス(DV)やストーカーの被害者については、公表前に住民基本台帳の閲覧制限がかかっているかどうかを確認する。公表後に家族からの要請があった場合などは、事情に応じて非公表に切り替えるとした。
2021年に静岡県熱海市であった土石流災害では、公表によって安全な場所にいる人をすぐに確認でき、捜索の対象者や場所を絞り込めた。
個人情報保護の運用は自治体によって異なっていたが、デジタル改革で関連法が改正され今年4月から全国共通のルールが適用される。災害時の安否不明者の氏名公表については、今回の指針が反映される見通し。
谷公一防災担当相は24日の記者会見で「自治体は平時から公表に向けた備えを進め、スピーディーな救助活動が行われるようにしてほしい」と述べた。〔共同〕