JR東海会長「高速鉄道は技術盗用、安全軽視」に中国高官反論

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  JR東海の葛西敬之会長が中国の高速鉄道について「外国の技術を盗用」、「安全を軽視」などと述べたことに対し、中国政府・鉄道部の何華武総工程師は12日、「中国の高速鉄道技術は総合的に、世界をリードする地位を獲得した」などと反論した。総工程師は技術部門の責任者。環球網などが報じた。

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  葛西会長は英紙フィナンシャルタイムズの取材に応じて、「中国の高速鉄道は安全性を軽視することで、限界まで速度を出している」と述べ、技術も「外国企業から盗用」と主張した。

  何総工程師は、「中国の高速鉄道の安全性は保証されている。また、コントロール可能なものだ。安全問題について、日本人の言い方は間違っている」と述べた。

  何総工程師によると、中国は高速鉄道技術の輸出を戦略的に進めているが、「われわれが求める技術は、日本のような島国向けの技術とは異なる」と表明する国も多いと主張。葛西会長の発言について、「競争における現状で、日本企業は感情的になっているのだろう」と述べた。

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◆解説◆
葛西敬之会長は中国への新幹線技術売り込みに対して、一貫して反対してきた。技術盗用の恐れが強い上に、自分たちの利益を極端い追求するためで、「新幹線は投げ売りするような技術はない」、「中国に最先端技術を売ることは、国を売るようなものだ」とまで述べた。

  一方、台湾への売り込みには肯定的だった。「日本側の利益も考慮している。車体やシステムなどでメーカーが儲かれば、技術開発費の上乗せに結びつき、結果としてJRにも利益がある」との考えを示したことがある。

  写真は中国で運行している高速鉄道車両。日本のE2系新幹線電車がベースのCRH2型電車。売り込みに当たり、中国は「すべての技術を明らかにする」ことを求め、日本側も応じた。中国はその後、自主技術も追加した。(編集担当:如月隼人)

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