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【関西歴史事件簿】秀吉のキリシタン弾圧(上) キリスト教の「日本征服」恐れた秀吉の妄想横暴…疑心暗鬼から教徒の逮捕・磔刑命ずる

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【関西歴史事件簿】
秀吉のキリシタン弾圧(上) キリスト教の「日本征服」恐れた秀吉の妄想横暴…疑心暗鬼から教徒の逮捕・磔刑命ずる

 文禄5(1596)年9月28日、イスパニア(スペイン)の大型船「サン=フェリペ号」が土佐沖に漂着する事件が起きた。遭難者は救出したが、積み荷の所有権をめぐってトラブルが発生する。これがもとで疑心暗鬼の時の権力者、豊臣秀吉は、ついにスペインによる日本侵略説まで出し、京都のキリシタン教徒の逮捕と磔刑(たっけい)を命じる。ここに、全世界を驚がくさせた弾圧事件が始まる。

積み荷はうちのもの

 サン=フェリペ号はガレオン船と呼ばれる当時最大級の帆船。船形がこれまでよりスマートで喫水も浅いため、高速で荷を多く積める利点があったが、安定性に劣るため、転覆事故を起こしやすいといった欠点もあった。

 文禄5年7月、多くの高価な荷を積んでフィリピン・マニラを出航したサン=フェリペ号は一路、メキシコを目指して太平洋を横断していた。ところが、東シナ海で台風に遭遇する。

 安定感のない船だけに揺れも大きい。すぐに舵(かじ)が壊れて操船ができなくなったため、メーンマストを切り取って何とか難を逃れようとするも、多くの乗組員は傷つき、船体の損傷も激しい。

 ただ、ただ激しい風とうねりに身を任せるしかなかった。そんな中で、ようやく漂着したのが日本の土佐沖だった。

 突然の“南蛮船”の漂着を受けて、土佐の大名・長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)は乗組員を土佐・浦戸に収容すると、事の一切を秀吉に報告。秀吉が派遣した奉行の増田長盛(ましたながもり)は乗組員の全員処刑の可能性と積み荷の没収を伝えるのだった。

「スペインは日本征服のために宣教師を送り込んだのだ」

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