ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、米国製主力戦車「エイブラムス」がウクライナに到着したとウメロフ国防相から報告を受けたと交流サイト(SNS)で明らかにした。ゼレンスキー氏は同日のビデオ声明でもエイブラムスの到着に言及し、「重要な増援だ」と指摘。ロシア軍に対抗する反攻作戦に同戦車を使用する準備を進めていると明らかにした。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、ウクライナに到着したエイブラムスは、米国が供与を表明している計31両の同戦車のうち第1陣。同紙は米当局者の話として、「2個小隊程度」の同戦車の引き渡しが完了し、今後数カ月以内に追加の引き渡しが行われるとも伝えた。1個小隊は通常、戦車4~5両で構成されるという。
一方、米軍事メディアの22日の報道によると、ウクライナ国防省情報総局のブダノフ局長はエイブラムスについて、「単純に前線に投入した場合、長時間はもたない」とし、決定的な突破作戦にのみ使用するとの運用方針を示した。
ウクライナは6月に開始した反攻作戦で、露軍の防衛線の強行突破を試みた結果、供与された英国製主力戦車「チャレンジャー2」やドイツ製主力戦車「レオパルト2」の一部を喪失。ブダノフ氏はこうした経緯を踏まえ、エイブラムスに関してより慎重に運用することを示唆した形だ。