台湾、同性婚を合法化へ アジア初 憲法法廷が判断
【台北=伊原健作】台湾で、アジアで初めて同性婚が合法化される見通しになった。司法院大法官会議(憲法法廷)は24日、結婚の前提を男女間と定めた民法の規定が、婚姻の自由と平等という憲法の趣旨に反するとの解釈を公表し、2年以内に立法措置をとるよう明確に求めた。一方、その形式については柔軟な姿勢を示し、反対派にも一定の配慮をした。
同性婚の受理を拒否された男性らが憲法解釈を求める申し立てを行い、憲法法廷は今年3月になって解釈の公表を決定。同性婚合法化が重要局面を迎えたタイミングを見計らった格好だ。
「同性間の結婚を排除する民法には、立法上の重大な瑕疵(かし)がある」。司法院の呂太郎秘書長が同日台北市内で記者会見し、憲法法廷の判断を解説した。「社会倫理の維持を理由に同性婚ができないのは非合理で差別的。法の下の平等に反する」とも述べた。
合法化は蔡英文政権の公約で、昨年末にも実現が見込まれていた。ただ昨年11月に立法院(国会)で本格審議が始まると、保守派から「同性愛は異常で認めるべきではない」「父母のいる家庭のあり方や社会秩序を崩壊させる」との反発が表面化。審議の停滞を招いたが、今後は法制化への作業が本格化する。
立法院では結婚に関する民法の条文から男女の区別を消去することで合法化を実現する「民法改正」と、同性パートナーに結婚と同等の権利を保障する「特別法」を作る2つの方法が検討されている。
結婚は男女間のものという原則を守りたい反対派の間では、特別法なら容認できるとの意見が増えている。形式について憲法法廷は、民法には手を入れず、「特別法」を作るのも可能だと示唆。反対派にも一定の配慮をにじませた。実際に法制化が実現するのは、早くとも夏以降になるとの見方がある。