日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
原著
性周期における主観的排便意識と客観的便形状の変動
若菜 真実山﨑 裕子岩佐 太一朗武藤 美紀子部谷 祐紀本間 和宏田中 越郎若菜 宣明
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2018 年 26 巻 4 号 p. 222-231

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抄録

女性には,性周期が存在し,それにより,頭痛,眠気,排便困難など精神的・肉体的にもさまざまな影響を受ける。これらの不定愁訴は,月経前および月経期に強く出現している。本研究では,主観的な排便に対する意識と客観的便の形状について,性周期との関連性を解析した。対象者は,20-30歳の健康な女性17名とし,28日間にわたる排便記録・食事記録・月経記録,さらに初日に主観的な排便に対する意識アンケートと体組成計測を行った。排便記録は,排便時刻,1日の回数,およびブリストルスケールを用いて便の形状を記載させた。 主観的な排便に対する意識へのアンケートでは,15人(88%)に主観的変動があった。性周期による便の形状の変動では,黄体期後半に便秘気味になった者が10人(59%),月経期に下痢気味になった者が10人(59%)であった。ブリストルスケールによる客観的変動の平均は黄体期前半 4.2±0.6,黄体期後半3.8±1.0,月経期4.3±1.0,卵胞期 4.2±0.9であり,大きな変動は認められなかった。しかし9人(53%)において性周期を通して1.1ポイント以上の客観的変動があった。12人(71%)は主観的変動と客観的変動が一致していた。5人(29%)は主観のみの変動であった。排便回数では12人(70%)に変動が認められ,うち7人(41%)が黄体期後半に変動がみられた。このように多くの女性には,性周期によって主観的にも客観的にも排便に対する意識および便の形状の変動が認められた。

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© 2018 日本健康医学会
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