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NTTドコモは、海外事業を統括する新会社を設立する方針を固めた。国内の携帯電話市場が頭打ちとなる中、成長が見込まれる東南アジアや北米で、法人向けサービスや新たな通信インフラの売り込みを強化する。近く発表する。
新会社は、ドコモグループ企業の国際事業を傘下に集約する。高速・大容量通信規格「5G」の普及をにらみ、あらゆるものをインターネットにつなぐ「IoT」の技術を応用したサービスを提供する。遠隔医療や自動運転といった分野で、システムの運用・管理などの受注拡大を目指す。
5Gへの移行が見込まれる東南アジアを中心に、低コストの通信網の構築や保守・運用サービスを提供する。特定企業の機器に依存せずに携帯通信網を整備する「オープンRAN」の売り込みにも注力する。
経済安全保障の観点から、通信業界でも、華為技術(ファーウェイ)などの製品を避ける「中国離れ」の動きが出ている。ドコモは、安全性をアピールして商機につなげたい考えだ。
海外展開を巡っては、ドコモは米通信大手AT&Tの携帯電話部門やインドの通信事業者に出資したが、撤退した経緯がある。2023年3月期の営業利益1兆939億円のうち、国内の個人向け携帯通信事業が約6割を占めており、海外事業の強化はかねての経営課題だった。幹部は「人口減で日本市場には限界がある。世界市場に目を向けないと事業の拡大はない」としている。