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座長:それでは「米軍等における上級曹長等制度の概要」につきまして、陸幕、海幕、空幕の服務室長より説明していただきたいと思います。 |
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陸幕服務室長:始めに、米陸軍の上級曹長等制度の概要についてご説明いたします。米陸軍では、大隊以上の部隊司令部にそれぞれ最先任上級曹長が配置されています。これは大隊の幕僚として配置されている者と、大隊・旅団長等に直接仕える「付」的な立場の者がいます。彼らは、部隊長の推薦によって、より上級の最先任上級曹長へと昇進していくものであります。中には大隊で横滑りしていく者もいます。選考方法は、下からたたき上げで上がってきた曹長の中から、陸軍省の昇任委員会が選抜をして、約36週の上級曹長課程に入り資格が得られるものです。最先任上級曹長になると転属もあります。地位的には、指揮官の幕僚であり、役割は、下士官・兵の指揮、訓練、昇任について、指揮官に直接助言ができるということであります。また、上級曹長間の「サポートチャンネル」というものが指揮系統と並列してあります。これは、上級の指揮官から下級指揮官に対し降りてくる情報とは別に、最先任上級曹長の間でも、上級の部隊から下の部隊に情報が降りてきて、より徹底を図るというシステムを米軍は持っています。また、彼らの処遇でありますが、それぞれ各級大隊長以上の指揮官の近傍に専用オフィスを持っており、専用の官舎、専用の車両を与えられています。このポストに就くと手当も付きます。
次に、英軍の上級曹長ですが、米軍の上級曹長に相当するものとして、「連隊上級曹長」、「中隊上級曹長」という職名のポストがあり、それぞれ1等准尉及び2等准尉が補職されています。英軍の上級曹長の役割は、連隊では1等准尉である連隊上級曹長が担っており、下士官・兵の勤務及び規律の全てに関して責任を負うという体制をとっています。英軍はどちらかというと陸上自衛隊の准尉に近いものと思われます。以上です。 |
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海幕服務室長(代理):米海軍の先任曹長制度の概要につきましてご説明致します。まず、制度導入の経緯ですが、1958年、曹長以降の更なる活躍を期待して、新規階級、E-8、E-9及び部隊にCMC、「コマンド・マスター・チーフ」を配置し、1967年に最先任上級曹長を新設致しました。役割としては、下士官・兵の士気、訓練、福利厚生等についての現状を把握し、助言・協議等を行い指揮官を補佐するものであります。次に責任と権限の主なものとしては、①効果的、効率的な指揮系統の維持及び促進、②良好な秩序と躾に関する伝統を推進するため、海曹士の福利厚生、保健、仕事のやりがい、士気、活用、訓練に関する全ての事項についての指揮官の補佐、③海曹士の人事施策に関する助言、④表彰を含む隊員の栄誉等のセレモニーへの参加等があります。選考につきましては、海軍最先任上級曹長は、艦隊、司令部及び各部隊最先任上級曹長経験者の中から、海軍作戦部長が任命致します。以上です。 |
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空幕服務室長:米空軍のファースト・サージャントの概要についてご説明いたします。ファースト・サージャントとは、65名以上の下士官・兵を擁する編制単位部隊に配置され、先程、米陸軍の説明でもありましたように、更に上級の部隊のファースト・サージャントになっていく方もおります。厳正な選考基準に基づき当該部隊長の推薦、承認を受けてファースト・サージャントという固有の特技職に指定されます。これに指定されますと、ファースト・サージャント学校に入校し、課程修了後は、ファースト・サージャントとしての任務が付与され、下士官・兵の福利厚生、士気、健康管理及び規律維持、訓練・教育等に関し、当該部隊長の補佐に任じています。米陸軍のように個室を与えられたり、特別の官舎も与えられており、特別な手当も出ます。航空自衛隊の上級空曹と米空軍のファースト・サージャントとの一番の相違としては、航空自衛隊では補給・航空機整備という特技を持った隊員が兼務として服務指導を実施し、指揮官を補佐していますが、米空軍は、専門的に教育を受けたプロフェッショナルとして指揮官を補佐しているところです。自衛隊もこのように責任と権限が明確になった制度にしていただきたいと思っています。以上です。 |
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座長:それでは、陸・海・空の説明が終わりましたので各委員ご質問があればお願いします。 |
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委員:ファースト・サージャントという呼び名は空軍だけで、それ以外は違う呼び方をしているということでよろしいですか。 |
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陸幕服務室長:陸軍では上級曹長です。役割的には同じだと思います。 |
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海幕服務室長(代理):海軍ではマスターチーフです。 |
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委員:空軍はファースト・サージャント学校を卒業していることが必須のようですが、陸軍、海軍は学校制度がなく、評価されて上がっていくということでしょうか。 |
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陸幕服務室長:陸については、陸軍省の選考委員会の選抜の後、上級課程を出ないと資格が得られないものです。 |
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海幕服務室長(代理):海軍では海軍最先任上級曹長は、艦隊、司令部及び各部隊最先任上級曹長経験者の中から選抜、艦隊最先任上級曹長については、各部隊最先任上級曹長経験者の中から選抜します。 |
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委員:空軍については、ファースト・サージャント学校という特別な学校に入るように理解しているのですが、陸・海は下士官教育課程みたいなものを終了しているだけで、後は実績に応じて推薦するということでよろしいでしょうか。 |
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委員:米陸軍では36週間の特別の課程があります。全陸軍から選ばれた者が課程に入り資格をもらうことになっています。下士官教育課程というのは、下士官になるための課程であり、この36週間の特別の課程が空軍のファースト・サージャント学校と同等な課程となります。 |
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委員:指揮官の補佐をするとありますが、実際にはどの程度の責任、権限があるのでしょうか。 |
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陸幕服務室長:例えば、昇任の序列等に関する事項について、直接指揮官に意見具申することができる立場にあると聞いています。 |
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空幕服務室長:権限そのものは指揮官が持っていますが、実務においてはファースト・サージャントとしての任務等に基づいた事項を行っていると理解しています。 |
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委員:そうしますと、指揮官は部隊のあまり細かいことを気にしなくても、ファースト・サージャント等に聞けば答えが返ってくるということでしょうか。 |
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空幕服務室長:ファースト・サージャントは、下士官・兵を一番良い状態に整えて指揮官に提供するというイメージだと思います。 |
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委員:平時はわかりましたが、有事の時の対応は変わってくるのでしょうか。 |
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空幕服務室長:有事に関することは確認していませんが、指揮権そのものはファースト・サージャントにはありません。米軍であれば有事でも平時でも同じだと思います。 |
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委員:自衛隊の身上把握のようなことは、米軍においてはファースト・サージャント等がやっているのでしょうか。 |
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陸幕服務室長:米陸軍については、ある程度の人事権まで持っていると聞いていますので、下士官・兵については実施していると思います。 |
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委員:空軍の話ですが、司令官の交代式をファースト・サージャントが進行していく等、かなり大きなイベントでも中心となって活躍していると聞いています。 |
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委員:下士官の長というシンボリックな面もあると思うので、実際の実務にはそんなに力はないのではないかと思います。 |
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座長:英国の場合は、「下士官・兵の勤務及び規律の全てに関して責任を負う」ということでしたが、米軍の場合と比較しかなりの権限を持っているように思うのですがどうなのでしょうか。 |
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陸幕服務室長:限られた範囲ではありますけども、人事・総務系統をコントロールするというような権限を持たされていると思います。 |