第7回人事関係施策等検討会議議事録

日時
平成16年5月28日(金) 12時30分~14時30分
場所
防衛庁A棟13階第2庁議室
出席者
(1) 人事関係施策等検討会議委員
栗林座長、桐村委員、杉山委員、津久井委員、冨田委員、福田委員
(2) 事務局等
人事第1課長、各幕服務室長
議事
(1) 開会の辞
 座長:ただ今より人事関係施策等検討会議の第7回の会合を開催させていただきます。本日はご多忙のところ、各委員にご参集いただき、誠にありがとうございます。なお、仮野委員及び田辺委員は都合により欠席されております。
(2) 第6回会合議事録 
 座長:第6回人事関係施策等検討会議議事録(案)について、説明をお願いいたします。
 人事第1課長:お手元に第6回会議議事録(案)がございます。これは事前に先生方に見ていただき、ご意見を反映させていただいております。
 座長:意見がないようですので、案のとおり了承されたものといたします。
(3) 米軍等における上級曹長等制度の概要
 座長:それでは「米軍等における上級曹長等制度の概要」につきまして、陸幕、海幕、空幕の服務室長より説明していただきたいと思います。 
 陸幕服務室長:始めに、米陸軍の上級曹長等制度の概要についてご説明いたします。米陸軍では、大隊以上の部隊司令部にそれぞれ最先任上級曹長が配置されています。これは大隊の幕僚として配置されている者と、大隊・旅団長等に直接仕える「付」的な立場の者がいます。彼らは、部隊長の推薦によって、より上級の最先任上級曹長へと昇進していくものであります。中には大隊で横滑りしていく者もいます。選考方法は、下からたたき上げで上がってきた曹長の中から、陸軍省の昇任委員会が選抜をして、約36週の上級曹長課程に入り資格が得られるものです。最先任上級曹長になると転属もあります。地位的には、指揮官の幕僚であり、役割は、下士官・兵の指揮、訓練、昇任について、指揮官に直接助言ができるということであります。また、上級曹長間の「サポートチャンネル」というものが指揮系統と並列してあります。これは、上級の指揮官から下級指揮官に対し降りてくる情報とは別に、最先任上級曹長の間でも、上級の部隊から下の部隊に情報が降りてきて、より徹底を図るというシステムを米軍は持っています。また、彼らの処遇でありますが、それぞれ各級大隊長以上の指揮官の近傍に専用オフィスを持っており、専用の官舎、専用の車両を与えられています。このポストに就くと手当も付きます。
次に、英軍の上級曹長ですが、米軍の上級曹長に相当するものとして、「連隊上級曹長」、「中隊上級曹長」という職名のポストがあり、それぞれ1等准尉及び2等准尉が補職されています。英軍の上級曹長の役割は、連隊では1等准尉である連隊上級曹長が担っており、下士官・兵の勤務及び規律の全てに関して責任を負うという体制をとっています。英軍はどちらかというと陸上自衛隊の准尉に近いものと思われます。以上です。  
 海幕服務室長(代理):米海軍の先任曹長制度の概要につきましてご説明致します。まず、制度導入の経緯ですが、1958年、曹長以降の更なる活躍を期待して、新規階級、E-8、E-9及び部隊にCMC、「コマンド・マスター・チーフ」を配置し、1967年に最先任上級曹長を新設致しました。役割としては、下士官・兵の士気、訓練、福利厚生等についての現状を把握し、助言・協議等を行い指揮官を補佐するものであります。次に責任と権限の主なものとしては、①効果的、効率的な指揮系統の維持及び促進、②良好な秩序と躾に関する伝統を推進するため、海曹士の福利厚生、保健、仕事のやりがい、士気、活用、訓練に関する全ての事項についての指揮官の補佐、③海曹士の人事施策に関する助言、④表彰を含む隊員の栄誉等のセレモニーへの参加等があります。選考につきましては、海軍最先任上級曹長は、艦隊、司令部及び各部隊最先任上級曹長経験者の中から、海軍作戦部長が任命致します。以上です。  
 空幕服務室長:米空軍のファースト・サージャントの概要についてご説明いたします。ファースト・サージャントとは、65名以上の下士官・兵を擁する編制単位部隊に配置され、先程、米陸軍の説明でもありましたように、更に上級の部隊のファースト・サージャントになっていく方もおります。厳正な選考基準に基づき当該部隊長の推薦、承認を受けてファースト・サージャントという固有の特技職に指定されます。これに指定されますと、ファースト・サージャント学校に入校し、課程修了後は、ファースト・サージャントとしての任務が付与され、下士官・兵の福利厚生、士気、健康管理及び規律維持、訓練・教育等に関し、当該部隊長の補佐に任じています。米陸軍のように個室を与えられたり、特別の官舎も与えられており、特別な手当も出ます。航空自衛隊の上級空曹と米空軍のファースト・サージャントとの一番の相違としては、航空自衛隊では補給・航空機整備という特技を持った隊員が兼務として服務指導を実施し、指揮官を補佐していますが、米空軍は、専門的に教育を受けたプロフェッショナルとして指揮官を補佐しているところです。自衛隊もこのように責任と権限が明確になった制度にしていただきたいと思っています。以上です。  
 座長:それでは、陸・海・空の説明が終わりましたので各委員ご質問があればお願いします。  
 委員:ファースト・サージャントという呼び名は空軍だけで、それ以外は違う呼び方をしているということでよろしいですか。 
 陸幕服務室長:陸軍では上級曹長です。役割的には同じだと思います。  
 海幕服務室長(代理):海軍ではマスターチーフです。  
 委員:空軍はファースト・サージャント学校を卒業していることが必須のようですが、陸軍、海軍は学校制度がなく、評価されて上がっていくということでしょうか。  
 陸幕服務室長:陸については、陸軍省の選考委員会の選抜の後、上級課程を出ないと資格が得られないものです。  
 海幕服務室長(代理):海軍では海軍最先任上級曹長は、艦隊、司令部及び各部隊最先任上級曹長経験者の中から選抜、艦隊最先任上級曹長については、各部隊最先任上級曹長経験者の中から選抜します。  
 委員:空軍については、ファースト・サージャント学校という特別な学校に入るように理解しているのですが、陸・海は下士官教育課程みたいなものを終了しているだけで、後は実績に応じて推薦するということでよろしいでしょうか。  
 委員:米陸軍では36週間の特別の課程があります。全陸軍から選ばれた者が課程に入り資格をもらうことになっています。下士官教育課程というのは、下士官になるための課程であり、この36週間の特別の課程が空軍のファースト・サージャント学校と同等な課程となります。  
 委員:指揮官の補佐をするとありますが、実際にはどの程度の責任、権限があるのでしょうか。  
 陸幕服務室長:例えば、昇任の序列等に関する事項について、直接指揮官に意見具申することができる立場にあると聞いています。  
 空幕服務室長:権限そのものは指揮官が持っていますが、実務においてはファースト・サージャントとしての任務等に基づいた事項を行っていると理解しています。  
 委員:そうしますと、指揮官は部隊のあまり細かいことを気にしなくても、ファースト・サージャント等に聞けば答えが返ってくるということでしょうか。  
 空幕服務室長:ファースト・サージャントは、下士官・兵を一番良い状態に整えて指揮官に提供するというイメージだと思います。  
 委員:平時はわかりましたが、有事の時の対応は変わってくるのでしょうか。  
 空幕服務室長:有事に関することは確認していませんが、指揮権そのものはファースト・サージャントにはありません。米軍であれば有事でも平時でも同じだと思います。  
 委員:自衛隊の身上把握のようなことは、米軍においてはファースト・サージャント等がやっているのでしょうか。  
 陸幕服務室長:米陸軍については、ある程度の人事権まで持っていると聞いていますので、下士官・兵については実施していると思います。  
 委員:空軍の話ですが、司令官の交代式をファースト・サージャントが進行していく等、かなり大きなイベントでも中心となって活躍していると聞いています。  
 委員:下士官の長というシンボリックな面もあると思うので、実際の実務にはそんなに力はないのではないかと思います。  
 座長:英国の場合は、「下士官・兵の勤務及び規律の全てに関して責任を負う」ということでしたが、米軍の場合と比較しかなりの権限を持っているように思うのですがどうなのでしょうか。  
 陸幕服務室長:限られた範囲ではありますけども、人事・総務系統をコントロールするというような権限を持たされていると思います。  
(4) 意見のとりまとめの骨子について
 座長:それでは、次に、本会議の意見のとりまとめの骨子について人事第1課長からご説明お願いします。
 人事第1課長:あくまで前回の骨子に先生方にいただいた御意見等を取り入れた内容となっていると思います。細部は担当より説明させていただきます。
 事務局:意見のとりまとめの骨子についてご説明させていただきます。まず、全体としましては、①はじめに、②現行の不祥事防止施策の評価、③今後の不祥事防止施策の在り方、④おわりに、以上の4項目で構成しています。この中の、②及び③の項目について細部ご説明いたします。②項目の現行の不祥事防止施策の評価につきましては、全般的な評価、不祥事防止施策を巡る環境等の変化、施策の実施・徹底で構成されており、不祥事防止施策を巡る環境等の変化については、益々困難となりつつある身上(心情)把握・服務指導、社会情勢の変化、自衛隊の任務の多様化・国際化となっています。施策の実施・徹底については、カウンセリング体制、人事管理、教育という構成になっています。次に、③項目の今後の不祥事防止施策の在り方としては、基本的方向性、具体的な施策で構成されています。具体的な施策については、服務指導体制の充実・強化、カウンセリング体制の充実・強化、人事管理体制の充実・強化、教育体制の充実・強化、フォローアップ体制の整備・地域社会との連携強化の構成となっています。
 座長:それでは、骨子についてのご意見がありましたらお願いします。
 委員:全体の構成について、「現行の不祥事防止施策の評価」から「今後の不祥事防止施策の在り方」への連接は飛躍しすぎると思われます。現行の不祥事防止施策の評価に引き続き、問題点及び制約要因の分析を項目として挿入しては如何でしょうか。
 座長:全体の構成とか具体的内容について他に何かあるでしょうか。
 委員:前回も申しましたが、制度の部分と運用の問題があると思います。時代が変化する中で制度を見直す必要があり、上級曹長制度などはそれに該当すると思います。また、自衛隊の任務の多様化・国際化の観点からは、イラク等海外で勤務する機会が増えたことを踏まえ、自衛官の栄典制度も見直す時期ではないかと思っています。
 委員:課題の設定は良く整理されていると思います。課題に対する対策としては、抽象的な部分と具体的な部分とが表現できると良いと思います。それに今後の課題という項目を新たに追加し、そこに国際化の問題等を盛り込んでいけば良いのではないかと思います。そして対策の後に課題という構成にすれば、相当整理ができるのではないかと思います。また、ヒアリング等でも上官が多忙であるという意見がありましたが、大学では、学生と面談するシステムとしてオフィスアワーというものがあります。自衛隊でも、週に一日程度でも上官と相談できる仕組みを作るとか、服務指導者の横の連携ができる仕組みとか、ケーススタディを作成し勉強する仕組みなどについても必要ではないかと思います。
 委員:現場指揮官の負担軽減は強調する必要があると思います。このとりまとめは、自衛隊の士気高揚につながるものであり、不祥事とリンクしていることから、教育にもフィードバックされるものと思います。隊員の士気高揚を図り指揮統率を行う、その一環として個々のカウンセリング等が集約されていると思います。また、今後のフォローアップ活動の継続性の観点から、その拠点となる機能として、例えば各幹部学校等に機能を付加して続けていくことも必要ではないかと思います。
 委員:不祥事防止は永遠の課題であり、本会議は一つの区切りを迎えるわけですが、地方ヒアリングに行って感じたことは、各担当者が意見交換したことが担当者にとっては自覚になったと思います。つまり、陸・海・空はそれぞれ同じ問題を抱えていて、意見交換したことにより「こういう解決策があるのか」という非常に参考になった事例があったように聞いています。このようなことは本検討会議としての成果であると思っています。これを地方レベル等で継続的にやっていく仕組みが一義的には必要ではないかと思います。それは、カウンセリング、自殺、借財全てにかかってくることで、この観点が今までは欠けていたのではないかと思います。
 座長:私もその点は強調し、盛り込みたいと考えています。
 委員:すぐに実施できるものと、長期になるものを分ける必要があると思います。全て実施できるわけではないので、やれることを盛り込めばよいのではないでしょうか。
 委員:具体的にできることは何かということ、今後の課題という部分が必要だと思います。
 委員:構成としては、現状の把握と課題の設定があり、対策として短期・中長期があり、最後に今後の課題という構成になると思います。
 委員:ファースト・サージャント等が、米軍や英軍では具体的にどのようにやっているかを継続して調査・研究することも必要であると思います。
 座長:その件は今後の課題にも入れられる内容だと思います。では、今までの議論を踏まえたとりまとめ案を事務局より事前に送付していただき、次回の会合で最終のとりまとめを行いたいと思います。それでは、本日は長い間ご議論いただき、ありがとうございました。

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