日本ダニ学会誌
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原著
日本におけるミツバチのアカリンダニ寄生の現状
前田 太郎
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2015 年 24 巻 1 号 p. 9-17

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抄録

アカリンダニAcarapis woodiはミツバチ成虫の気管内に寄生して体液を吸汁する.アカリンダニの寄生はミツバチコロニーに深刻なダメージを与え,セイヨウミツバチApis melliferaにおけるアカリンダニの分布はヨーロッパから南北アメリカを中心に全世界に広がっている.日本におけるセイヨウミツバチへの寄生報告は2010年に初めて行われ,同年ニホンミツバチA. cerana japonicaにおいてもアカリンダニの寄生が確認された.その後,農林水産省のアカリンダニに関する記録によると,2012年までわずか4件の記録がニホンミツバチであるだけで,セイヨウミツバチにおける寄生記録はない.しかし,実際のアカリンダニ被害件数はこの記録よりもはるかに多いと考えられた.そこで,全国のニホンミツバチ350コロニーと,セイヨウミツバチ50コロニーについてアカリンダニ寄生の現状を調査した.アカリンダニ寄生の診断は,顕微鏡下でミツバチを解剖して行った.その結果,ニホンミツバチでは東日本を中心にアカリンダニの寄生が確認された.一方,セイヨウミツバチではアカリンダニの寄生は発見されなかった.セイヨウミツバチへのアカリンダニ寄生率が,ニホンミツバチに比べてはるかに低い原因について現在調査中である.

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