創業90年を誇る福岡県久留米市の老舗製パン業「木村屋」が今月末で事業を終了することになった。市内にある自社工場は同業者に譲渡し、「キムラヤ」の屋号で展開する全7店舗は閉鎖する。久留米のソウルフードと呼ばれ親しまれてきたが、原料価格の高騰などで経営環境が悪化した。閉店を前に客がひっきりなしに訪れ、名残を惜しむ声も多く寄せられている。
同社は1926(大正15)年創業。国内製パン業の草分けで、日本で最初にあんパンを作った木村屋総本店(東京)からのれん分けされた。元祖メロンパンと銘打つ「まるあじ」や、犬の舌に見立てた赤いハムをコッペパンに挟んだ「ホットドッグ」が看板商品。高度経済成長期には、学校給食に対応して工場を設置し、多い時は久留米地区を中心に県内外に20店以上の直売店を構えた。
この記事は有料記事です。
残り454文字(全文798文字)